基本は押さえてあるが重要な点で説明不足があり、やや物足りない
★★★☆☆
・ 銀行への就職希望者、何らかの理由で銀行の役割を知る必要に迫られた人には役立つ。銀行の決済機能、信用供与、公的資金投入などの銀行救済、バーゼル2、新会社法に基づく三角合併、ROE重視の経営、メガバンクなどの経営戦略や課題、不良債権の分類についての説明がある。
・ ただ、日経新聞を難なく読んでいる人に役立つのは、銀行業界の勢力図、M&Aアドバイザリー実績の世界ランキングなどの図表ぐらいだろう。他に、「JR銀行」(P.187)という提案は面白い。
・ なお、「低金利というのは資金余剰部門である家計から銀行ではなく産業界への所得移転を促した」(P.14)とあるが、具体的な試算はなく、説得力に欠ける。まあ、新書に求めるのは酷だとは思うが。