The Very Best Of J.J. Cale
価格: ¥649
ベスト盤にしては、今作は極めて地味だ。しかしこのシンガーソングライターが、ほこりっぽい道を歩く、最も無口なロックンローラーであることを考えれば納得。デビューして10年、意外にも多くのヒットを残してきたJJケイルの『Very Best』はディスク1枚のみ。アウトテイクやレア音源を収めたボーナス・ディスクは、ケイルの「最小限こそ最高」という美意識にそぐわないのだ。このオクラホマ男を偉大なブルースロッカーの先駆者として称えるエッセイもなし(エリック・クラプトンやダイアー・ストレイツを始め、多くのスター達が彼の影響を受けているにもかかわらず!)。ブックレットにはミュージシャンのクレジットと、ケイルからのささやかな感謝のメッセージがあるのみ(カメラ嫌いのケイルがカメラ目線で写っているのはご愛嬌か)。音楽の方はと言うと、収録されいてる20曲はソロ名義の代表曲(初期のヒット「Crazy Mama」「Lies」)と彼の音楽仲間のカヴァー(クラプトンのヒット「Cocaine」「After Midnight」、レナード・スキナードのコンサートの定番「Call Me the Breeze」)。このシンプルなベスト盤だけでは、彼を完全に知ることはできないと言う人もいるだろう。では誰が先頭を切ってその主張をしてくれるだろう。控え目なケイル本人でないことだけは確かだ。(Steven Stolder, Amazon.com)