海外文献・論文の紹介本!
★★★☆☆
同じシリーズの第3巻目ともなると、そこそこダラけてくるのか、気合の入り方が第1巻・第2巻と比べると少々どころか、相当劣ってきている。海外学者の論文の紹介が余りにも多く、これを紹介している編著者の見解がほとんど掲載されていないのだ。
その中でも「第1章・資本調達の財務構造」で花枝先生が解説されているサブプライム・ローン関連商品の解説は、なかなかいい。簡単な図表を使って説明されているので、なかなかわかりやすく、昨今の数多の類書・新聞・雑誌等々の記事などよりはるかにわかりやすい。
第3巻はかの有名な「MM命題」の解説に始まり、最終章の「自社株買い」での「MM命題」の応用まで、「MM命題」にこだわっているようだ。
本書は各章の様々な論点を、経営者のモラルハザード、フリー・キャッシュフロー問題、逆選択問題、ペッキング・オーダー理論、エージェンシー問題にそれぞれ振り分けて解説している。そのほとんどを海外の余り私が見知っていない論客・学者等々の論文とか実証データ分析の資料を駆使して、論述しているのだ。このあたりのモデル分析は、少々退屈で、各章の筆者もコメントをほとんど加えていないのが残念。それぞれの論文がいまいち充分に把握できないのだ。