良書
★★★★☆
不良のための本を良書と評価したら、著者におこられるかもしれないが、本、書店、出版事情などについて、非常に詳細に書かれている。そこにほどよいタッチの毒と読みやすい文体があるため、爽快な本。
「本をゴマンと読んだぜ」と言って笑って死んでいきたい
★★★★☆
ここのところ読書に疲れぎみの私に、「そんなことでどうする!」とカツを入れてくれたのが、本書の次のひとことでした。
「今日は欲しい本がなかった」と書店を出るとき、本当に欲しい本が
一冊もなかったとしたら、不良になろうとする者にとってかなりヤバ
い事態だ。
好奇心がすっかり萎えてしまっているということなのだから。
そうかー。好奇心が萎えるというのは、かなりヤバイ事態なんだな。
よーし。私も著者のように不良になろうじゃないか。
著者が「不良」といっているのは、読みはじめた本に最後まで付きあったりしない、という読者のことです。
実は、著者自身、最近まで読書をつらいと感じていました。というのも、本というものは「いちど読みはじめたら、必ず最後まで読み通さなければならないもの」と考えていたからです。
そんな著者を救ってくれたのは、フランスの映画監督のゴダールでした。
ゴダールは一本の映画を20分ぐらいしか見なかったそうです。おもしろくても、おもしろくなくても、20分見ると、次の映画館に行く。映画館を「はしご」することによって、たくさんの映画を見ていた、という逸話を耳にして著者は開眼しました。
そうだ、ゴダールでいこう! と。
「不良」になった著者は、「本を最後まで読むのはアホである」とまで言ってます。
永江さん、ちょっと言い過ぎじゃないの。なんて遠慮していては、正しい不良になれません。
死ぬまでに本を読める時間が限られているということは、「一冊の本を選ぶことは、同時に他の本を読む可能性を捨てること」ですから。
永江さん、ありがとうございました。おかげで、好奇心が復活しそうです。
どうしてこんな内容のわかり難い書名をつけるのか?
★★★★☆
ここでいう『不良』とは、『徒党を組んで弱い人を脅かして金をまき上げたり、あぶないクスリをたしなんだりする人々のことではない。コンビにの前で大股広げてしゃがんで、タバコを吸いながら通行人を睨みつけ、路上に痰を吐くような人々のことでもない』(本書『はじめに』p.13より)
では何か? 『世の中の悲劇や不幸の大半』を作る『マジメなよい子』に対する、その反対の人という意味の、不良です。そして、不良になるには、本をたくさん読めばいいとのことです。
しかし今、本は、世の中に満ち溢れています。いい本ならともかく、読む価値のない本まで、初めから最後まで読んでいたのでは、時間の無駄です。買ってしまった本は、読まなきゃ損、と思いますが、それ以上に、時間がもったいないのです。
そこで著者は、『ゴダール式読書法』を勧めています。
『本はテキトーなところを二〇~三十ページも読めばいい』(p.34)というのがゴダール式読書法です。
この本も、この『ゴダール式読書法』について書かれている部分だけ読めば、ちょうど20~30ページの量になります。
その他の部分は、新刊書店や出版業界・流通のしくみから、古本屋や図書館まで、本に関係する、雑学的内容になっています。
私としては、このその他の部分の方が、興味深く、おもしろく、読めました。
このレビューのタイトルに書いた疑問が解けました。なるほど、20~30ページしか読まないのであれば、内容を的確に表す書名をつけても、意味がないという訳か。
ダサすぎるタイトル
★★★☆☆
まず、タイトルがダサすぎるのですよこの本は!
それで損してるでしょう・・・。
著者は「批評の事情」において今活躍している若手論客について語る中で、
しばしば本の題名がダサい、と指摘していましたが、ご本人がこれじゃぁ・・・。
さておき、この本の内容は、書籍販売の実情や、読書術、映画鑑賞術などです。
もっとも、書かれたのがインターネットが隆盛を誇る前夜といった時期ゆえに
当時立てられた予想といった趣きですが、まぁそれも貴重な資料となるでしょうね、
テクノロジーが発達したあとの本の行方をどのように予測していたかを知るという意味で。
個人的には、「ゴダール式読書法」と名付けられた読書術(元はゴダール監督の映画鑑賞法)に深く同調してしまいました。
ここでは詳細を記しませんが(興味がわいたら書店で見つけて目次で「ゴダール式」の項目を見つけて読んでみてください)。
目からウロコ、かもしれませんよ。と、いうことで、3.5点、でも題名がダサいので3点です。
読書の王道
★★★★★
読書とは本来不良が行う行為である。
「名作だから」「最初から最後まで読む」なんてナンセンス。
たかが、インクの染みのついた紙のカタマリじゃないか!
さあ、いまこそ、本物の読書をしよう。本好きが読めば
最初はびっくりするような内容が多いが、次第に納得できるはず。
誰のためでもない自分の読書だ!