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豊かさの精神病理 (岩波新書)

価格: ¥840
カテゴリ: 新書
ブランド: 岩波書店
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“モノが豊かだからこそ、生まれる弊害を描いた1冊” ★★★★★
対人関係で悩む人々の原因がモノを通して認識できることを
精神科医の著者は感じている。
彼らは、人とつき合う際に、モノを介し、または人をモノのように
扱う。
その結果、生の感情の衝突を避けようとするため、
孤独や悩みといったものが生まれ、それを自らの力で解決できない状態に陥る。
そのような人々を「モノ語りの人々」としてまとめたのが本書

本書では5つのカテゴリーに分け、それぞれのモノに対して、
・人々がどう依存してるか
・そもそも依存をもたらすようになった原因は何か?
といった事柄を対話形式が紹介しています。

参考までに6つを以下に掲載します。
1.カタログ時代のパーソナリティ
2.グルメ・ブームの精神構造
3.不倫ゲームの精神構造
4.ペットの両義性
5.「幸せ」に似合う家族


■著者プロフィール
大平健(おおひら けん)
1949年生まれ。
73年東京大学医学部卒業。
現在は、聖路加国際病院神経科勤務の精神医学者。
主な著書に『貧困の精神病理』『分裂病vs失語症』などがある。
うーーん…<モノ語り>の人々の具体的なエピソードの記録としてはよいけれど。 ★★★☆☆

 精神科医の著者が、ブランド品、高級品や流行最先端のデジタル機器等の物質的な品を買い集めることにより、自分の精神的成長を遂げた、満たされた、と感じてそのことを体系だって説明することに自己満足を感じる種類の人々=<モノ語り>の人々の症例を何パターン化に分けて取り上げ、彼らのエピソードを紹介後、簡単に分析しています。彼らのエピソード自体は、成程、と思う程度には興味深いです。

 第二次大戦以降に高度経済成長期を迎えて以降の日本では、国民総中流化現象や日本の相対的地位向上、経済発展などにより、国民の多くが、生活必需品だけでなく、人よりも(少し)良いものを購入できるようになってきたため、こういった傾向の人々がそれ以前より目立つようになったことは確実と思います。また、マスメディアの発展により、多彩なCM/広告により、そんな精神構造が促進されてきたことも事実です。
 それは言い変えると、自身が無い、よりどころが無い、虚無な「自我」が、「物」に依存して強化されている状態ではないでしょうか。太古の昔から、人々は、肩書に依存したり、家柄に依存したり(≒自分では何も努力しなくて、特に誇るところがなくとも、家柄が良いというだけでカサにきて威張るなど)してきました。それらに関しては現代よりも昔の方がその傾向が強かったくらいだと思います。筆者は、物質に依存する虚しさを、いわば「現代病」として批判していますが、確かに本書で取り上げられている人々の空虚な生活は読んでいてうんざりしますし私も批判的ですが、いつの時代も人々は何かに精神的に依存する傾向があり、たまたま現代ではその対象が(比較的高価な)モノになっただけで、精神科的にそれ程目新しい事象とも思えないのですが…。

 心理的な現象というよりは、社会的現象(しかも、とりわけ新しい概念でなく、広く指摘されるようになって久しい事柄です)に関する参考例で、精神科医がわざわざ一冊を割いて指摘するほどのことか? という気が……。

人はカタログの中で生きられるのか? ★★★★☆
 この本全体に、”現在”そのものが、どうしようもなく現れている。
 露わになってくる場所は、精神科の患者の診療の場である。
 この時代を生きている人々は、できうる限り葛藤を抱えたくない。葛藤を回避するために、間にもの(主にブランド品)を入れる。結果として、当の相手と直接対峙する事態から逃れられる。愛情、親しみ、その他の感情的な重みは、たとえば贈りものの金額の多寡によって量られる。患者は、医者に事態を説明するために、延々と、ブランド品を中心とした<モノ語り>を続けていく。
 人々は“ポリシー”をもって、カタログ雑誌を利用しながらブランド品を買う。つき合う人、さらには自分自身さえもブランド品にたとえて考えることも多い。それが、彼らの自己実現であり、個性となる。ものをより高級品に買い替えることによって、彼らの生活は“ステップ・アップ”されていく。自分も相手もそう考えていると思っているが、必ずしもそう考えるだけでは、自分が、相手の態度が納得できない、という事態の中で、彼らは精神科を受診することになる。
 読みやすく、言っていることも大変よく分かる。だが、読み終わって、克明なカタログを熟読したような印象が残る。チャート式シリーズの参考書を開いたときのような感触と言ってもよい。私には、この本自体が、登場する患者の話が、一冊の本にまで大きくなったもののように感じられる。
 わかりやすいことに異を唱えるつもりはない。だが著者は、この本の執筆時に、この問題の先にあることまで視野に入っていたと思う。この論理が破綻する、そのとば口だけでも触れてほしかった。無いものねだりというものなのだろうか?
モノを通して感じる豊かさ、モノを介さねば感じられない豊かさ・・・それが日本人の豊かさの精神病理 ★★★★☆
精神科医による「豊かさとは?」の分析。
自分の個性や、健康、幸せを、"モノ"を手に入れること、あるいは"モノ"に代替させたり、"モノ"を媒介させることによって実現しようとする、そんな人々がいる。
よりよい"モノ"で、ステップアップしようとする人々が葛藤する姿は、日本社会の様々な問題と重なる部分が多いように感じた。精神病理の新しい視点を提供してくれる。
入門書的なおもしろさ ★★★★★
ああ、こういう人いるよなぁ〜っ、と
おもしろさ(興味深さ)ゆえ納得し、
自分のことを反省することもできた。
キーワードは「モノ語り」
豊かさゆえのアイデンティティの欠如。
「モノ」を拠り代にした心の安寧。
現在の「格差」意識の流行を背景として
読んでみても非常に興味深い。