お洒落な骨董品にまつわる、お洒落な兄弟?の物語
★★★★☆
町の小さな骨董品店「FUGA」を営む3人兄弟。実は兄二人は人に非ず。100年を超す寿命を保ってきた骨董品にのみ宿る「つくも神」(精霊)「シャナイ ア」と「ユイマール」が、中学1年の少年「一条風雅」との「契約」に基づき、風雅の兄「紗那」と「唯」として人の形を表したもの・・・。
表紙に描かれた妖しい二人がその兄貴でありますが・・・どう見ても・・・まともではありません・・・。(笑)超美形でありながら傲慢な紗那、超美形であり ながら・・・料理好きで優しい唯・・・。3人の凸凹トリオが、行方不明となっている風雅の両親を救い出すために奮闘する・・・というお話。
シリーズ(1)(2)巻でも、書名に恥じず奥深い骨董品の世界を垣間見せると同時に、それらにまつわる素晴らしい「物語」を展開してくれましたが、この第3巻でも「ルネ・ラリック」のアンティークを取り上げ、アール・ヌーヴォー様式の優雅で美しい作品にふさわしい、ロマンチックで切ない、中々に味わい深い「物語」を語ってくれます。
心優しい少年と超美形の仮の兄貴たち、そして優雅な骨董品。今回は更に、お金持ち向けのジュエリー会社の社長と、デザイナー志望の秘書が絡んでお話は展開 しますが、全体的には軽い調子の雰囲気なのに、所々で叙情的な場面や切ない情景も描かれていて読ませますね。あんびるさん・・・上手いな〜!(笑)
結末を読むと、次はロンドンが舞台になりそうです。期待しましょう!