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中国は北朝鮮を止められるか

価格: ¥1,575
カテゴリ: 単行本(ソフトカバー)
ブランド: 晩聲社
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中国は世界一功利主義が発達した社会主義国だと思う僕は誤っているだろうか ★★★★☆
著者は東京新聞の特派員として中国総局に赴任。中国からみた北朝鮮を書いた。

中国はその行動原理がわからない不思議な国だ。たとえば尖閣諸島の漁船ー巡視船衝突問題にしても
明らかに漁船の方から衝突しているのに、全世界で見られるテレビで報道官が『巡視船が漁船を追い回し
衝突した」と発表する。そういえば、「うわきのその瞬間を奥さんに押さえられても決して浮気を認めてはいけない」
「それがうわきもみ消しのコツである」と怪しげな理論を展開するひとがいるが、それとよく似ている。
北朝鮮でも国内向けと外国向けでは少しトーンを変えたりするのに中国はウソを言ってはばからない。

そしてもう一つ不思議なのは、その北朝鮮に対する態度である。
中国と北は『人民的友誼是用鮮血凝固成的(地で固めた友情)」と言うが、いかな大げさな表現をする両国でも
今や、社会主義の名優という官憲では説明できないことばかりだ。
地政学的にも、もし北が崩壊したら、中国と日本海の間に人口6000万人の資本主義国が誕生することになるが、
今の中韓の経済的関係を見れば、それこそ役に立ちこそすれ、困ることはないように思う。
難民は中国に流れこむが、中国に向かうものより、韓国日本へ向かうものが多いだろう。

ところで僕は、中国を世界一功利主義が発達した社会主義国だと思っているが、そうすると中朝間の不思議な
付き合いは経済的側面をおm組み手とかなければならないのではないか。

本書にいくつかの答が載っていた。
「中国は北の地下資源(レアメタルなど)に関心を持っている」
「中国は時刻よりさらに安い北の労働力を狙っている」
「北は早晩崩壊するのでその時の利権を確保しておきたい」
「日本などどうでもよいが、アメリカが北に干渉することはどうしてもさけたい」

そういえば、沖縄返還の時にアメリカは尖閣諸島もともに日本に返した。世界的な認識は日本の領土だったのである。
中国に気を使ってかアメリカはそのことに言及しないし、日本の閣僚で主張する人もいない。
豊富な資料と体験を下地にした説得力 ★★★★★
日米中韓朝の近年の資料を網羅している点もさることながら、取材で得た皮膚感覚の中朝関係の「今」を下地にしているだけに説得力がある。北朝鮮は漏れてくる情報も少なく、出版される書物の質も玉石混交だが、資料性と体験談をこれだけバランスよく取り込んだ作品は珍しい。

新聞記者が書いているだけに読みやすく、誤字もない。あまり話題を呼んでいない気もするのが残念だが、中朝関係の現状と今後の展望を考えるには格好の一冊でしょう。
卓抜した視点に貫かれた好著! ★★★★★
北朝鮮と中国は兄弟、あるいは姉妹関係にあるものの、
必ずしも一枚岩ではないことが、本書によってよくわかる。
北京にある北朝鮮大使館前のベンチに座って、出入りする関係者に
声を掛けて取材を続ける著者の姿は、ジャーナリストとしての誠実さを
物語っている。
派手な演出はないが、卓抜した視点に貫かれた好著!
元首の感情=国家の意思 という2つの国の微妙な関係 ★★★★★
 北朝鮮と中国の関係は、複雑怪奇な因縁があるらしいとは思っていました。でも、それを解説した本、というか解説できてた本というのは今までなかったと思います。歴史的に、地政学的に、他国との外交の中で、いろんな角度から、中朝関係をほぐしたら果たしてどうなっているのか、著者は自分の足で丹念に確かめているので臨場感がありました。

 中国は、経済的に発展し、国際常識の中に身を置くようになるにつれ、常識の外にある北朝鮮をもてあますようになっている。本のタイトルはまさにそれを表しているのでしょうし、著者が長年ウォッチングされてきたことで、外からはなかなか見えにくい具体的な動きが、1冊読み通して伝わってきました。

 北朝鮮は、元首の意思がそのまま国家の意思だったりします。中国も、北朝鮮ほどではないし、元首の交代がありますが、その傾向があります。ふつう、主要国同士の外交は個人的な感情を完全に抜きにした集団の意思同士で行われますが、中朝関係は、個人の喜怒哀楽や好き嫌い、面子を理由に動くのが、面白くもあり、恐ろしいことだということがよく分かる本でした。
鮮血で固めたはずの関係はどこへ行く? ★★★★★
中国と北朝鮮が仮面夫婦だったとは。読後、「関係の冷めた夫婦が家の外では完璧な夫婦を演じているようなもの」という著者の比喩に納得しました。自国の利のため、暴走する北朝鮮と、なだめ、かばう中国の実態は恐るべしですね。

北朝鮮本は2次、3次情報が多かったり推測や思想先行で語られがちですが、この本は違いました。ソウル、北京で特派員をし、中朝国境にも通ったという著者は朝鮮語、中国語、英語を駆使して情報を足で稼ぎ、文献を渉猟し、分析しています。例えば、北朝鮮大使館員やアガシへの接触、北朝鮮産バイアグラの試し買いなど精力的?な突撃取材が、中国内部に北朝鮮が外貨稼ぎをするルートが確立している実態を示すまでに深まっていきます。

夫婦喧嘩は犬も食わないというが、この中朝夫婦の場合は違う。この不透明な夫婦の関係を知ることが隣に住む私たちの家庭の安定につながるのでしょう。そのためにも読んでよかった一冊でした。