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二〇世紀崩壊とユーゴスラヴィア戦争―日本異論派の言立て

価格: ¥4,410
カテゴリ: 単行本
ブランド: 御茶の水書房
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半端でない「血と土」の民族論、多民族国家「旧ユーゴスヴィア」の運命 ★★★★★
「ヨーロッパの火薬庫」バルカン半島、中でも最もキナ臭い旧ユーゴスヴィア。その二十世紀後半の複雑な歴史模様を鮮やかに浮き彫りにする作業で、本書の右に出るものは無いであろう。偶然ではない。筆者は4年間のユーゴ留学、1991年からの11年間毎年計10回ユーゴを訪れ、戦火の現場で現地の民衆と顔を合わせている。いわゆる単民族国家(アイヌ族を吸収)で島国の日本からは具体的イメージ作りも困難な旧ユーゴスヴィアは「7つの国境、4宗教、3言語、2種の文字」の国。これを「1つの国家」にまとめたのが故チトー大統領。チトーと敵対関係にあったスターリン主義の系譜ソ連は1991年崩壊し、ソ連とは対照的な「労働者自主管理」体制のユーゴには「有利」そうだが、結果は逆。本書は見事な説明:ユーゴスヴィアは旧ソ連東欧と欧米資本主義勢力のどちらにもつかぬ中間の「第三勢力」の旗頭としてエジプト、インド等を結集、それが旧ユーゴの「存在根拠」だった。ところが旧ソ連・東欧が崩壊消失すると「中間」の意味も消滅する。チトーの死と共にこれがユーゴスヴィア分解の一因と。チトーは「国内民族主義」を強く警戒し、秘密警察まで配置した。とりわけ大セルビア主義を抑えるためにセルビア共和国内に2つの自治州を設置した。その一つがコソボ。欧米帝国主義 NATO はセルビア勢力を封じ込めるため「人道的観点からコソボ難民の救出」なるドラマを猛爆も加えて演出した。本書はその偽善性を厳しく追及している。セルビアの最高権力者ミロシェヴィッチを「生き残りの共産主義者」とみなし、内政干渉に乗り出したとしている。16首短歌の一つ<回廊をじぐざぐ進むバス止めし 交通標識は「ここより戦場」>。