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スレブレニツァ―あるジェノサイドをめぐる考察

価格: ¥3,990
カテゴリ: 単行本
ブランド: 東信堂
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人類最大の犯罪「虐殺」の解明 ★★★★☆
 映画「ホテルルワンダ」を見て依頼、虐殺(ジェノサイド)の問題を考えるようになりました。94年のたった100日間で80万人が虐殺されたルワンダの虐殺。何でそんなことが起こってしまったのか。
 本書はボスニア紛争下の95年に起きた虐殺(10日間で7500人と言われる)のプロセスを研究・解明した研究書です。虐殺を生き延びた人の手記などいわゆるノンフィクション=ドキュメンタリーではありませんが、本書は情報が統制された紛争下、というより情報が隠蔽され、消し去られている事件に、入手しうる情報を比較検討しながら挑み、虐殺の真実を解き明かそうとする極めて画期的な研究だと思いました。
 著者の博士論文がベースの本書は横書きになっていることもありノンフィクションに比べて一見無味乾燥なイメージを受けますが、2章「スレブレニツァで何が起きたのか」、3章スレブレニッアの陥落」は時系列を正確に記述しながら、取り返しのつかない残虐行為が伝播・拡大する様を刻々と追っています。その場に居合わせているような臨場感に戦慄を禁じえませんでした。
 人類の歴史とともに長い「虐殺」ですが、虐殺に政府が関与していることが多いため、一国一国の対応により解決と抑止を期待することは出来ませんでした。それには国連主導の超国家的な合意が必要であり、国際法の整備(条約の批准等含む)をもって初めて犯罪として認定されたと本書にも書いてあります。
 我々の周りには直接的な虐殺はありませんが、今は企業体の経済的合理性の観点から許されている「派遣切り」のような問題も、あれは犯罪であったと言われるようなそんな時代が来ることを願っております。しかし問題の解決は一国単位では不可能と言うことです。虐殺の抑止であれ、核軍縮であれ、超国家的合意形成が不可欠であったのと同様に、労働者の生存権の問題も超国家的な法整備なくして解決することは不可能と思われます。