商業デビュー作にして『したきり雀』は殿堂入り。個人的には『SAYURI』らぶ。
★★★★☆
★4の上。
同人『独立愚連隊』の司令塔である著者の商業処女作。ラスト1本の書き下ろし以外は同人誌からの再録。
はじめての長期留守番中に男達に押し込まれた表紙の女の子亜理沙は見も心もボロボロにされる。90ページの中編『はじめてのお留守番』。
昼間は野球大好き女の子でランドセルが可愛い亜理沙の親友沙由梨。夜はパパと大好きなエロエロ三昧『SAYURI』。
田舎で知り合った男の子たちと水車小屋へ行って大はしゃぎのゆき。楽しいはずの夏休みは、やってきたエロオヤヂのせいで最悪の結末に『水車小屋の響』。
噂のお化け見たさに夜の山道へ繰り出す奈保。お化けたちはエロエロだった『こんな顔』。
幼なじみ三人組。嫉妬が生んだ友人の罠にはまり汚された少女は死と引き替えに……。暗黒童話な『したきり雀』。
亜理沙と沙由梨のその後を描いた微笑ましいエロエロ劇『沙由梨と亜理沙のお留守番』。
絵はうまいしキャラに魅力もある。欲を言えば目や口の動きで表情を増やしてくれたらとも思う。キャラのパターンももう少し書き分けられるとハバが出そう。
お話の発想自体は素晴らしいモノがあるんだけど、展開が予定調和すぎる面もある。
少女が無理矢理初めてって設定にしては痛みを表現する手法に少し工夫が足りないかも。
シチュの良さと構図の上手さでエロは充分伝わってくる。細かい仕種とコマ割りによるインパクトの付け方さえ身につければコワイモノナシかもしれない。
かなり辛口の評価になったけど今後の期待の大きさゆえご勘弁を。
何にせよ現在の商業成コミ市場の平均値は二段くらい飛び越している。
本人はあくまでも同人優先みたいなので個人の優先順位の問題まで口出しする権利はないけど出来るなら商業でやって欲しいと切に願う。