計画業務を中心にサプライチェーン・マネジメントを紹介
★★★★★
マネジメントにはPDCAサイクルがあり、すべからく計画が大事にも
関わらず、SCMの現場では実行業務や会計数字、システム構築に注目
しがちです。
このため、本書では、計画業務を中心にSCMを紹介しています。
経営コンサルタント視点でのSCMと言えば分かりやすいでしょうか。
テーマ単位に見開きで書かれており、読みやすい。
興味深かったのは、「(需要予測と)販売管理とSCMは分離すべき」
との指摘。確かに、決めやメンツが大事な販売計画が絡む部分は、
下方修正が行われにくいですからね。
その他、実務や経験に基く内容が豊富にあります。
これからSCMを構築します
★★★★★
精密機器メーカーでこれから、グローバルにSCMを
構築します。
シンプルなシステムで十分だというメッセージ、
SCMは業務実行ではなく”マネジメント”だというメッセージ、
心に響きます。
最後の導入ステップがあるところと、
「紐解き」がある点で、驚きとともに、
読む価値を感じさせます。
実際に何件もSCMを構築してきたからこそ
なんでしょうね。
実践に裏打ちされたノウハウ
★★★★☆
著者のコンサルタントとしての豊富な経験をベースに非常に分かりやすく
まとめられています。
SCMというと範囲が広く、つかみどころの無いイメージがありますが、
著者はSCMのポイントは計画(販売計画、需給計画、生産計画、調達計画)
にあり、マネジメント層の意思決定を多く含むマネジメント業務そのもの
であると指摘しています。
構成としては約90のトピックがあり、それぞれのトピックが見開き2ページ
で簡潔に説明されているので、読みやすいと思います。
専門的な詳細に入り込んでいないので、SCM初学者にとっては基礎を学ぶのに
使えますし、著者のコンサルティング経験に基づく独自の視点も豊富に盛り
込まれているので、それなりに経験がある人でも気付きの多い本だと思います。
私はどちらかというと初心者に近いので、何度も読み返してトピック間の
関連などにも注意を払いつつ、理解を深めて行こうと思います。
理解しやすいSCMの実務書、秀逸+★★★★★
★★★★★
本書は、SCMの成り立ちから入って、
SCMを構造化して説明している点で
屹立したわかりやすさを実現しています。
しかも、「計画業務」に重点的な力点をおいている点で、
唯一の書籍ですし、それだけでまともなことがわかります。
SCMというと、とかく物流だけとか、
実務経験がなさそうな評論家やジャーナリスト、学者の
机上の空論(失礼!)が多い中で、
多彩な導入経験に裏打ちされた内容は
秀逸、使える内容です。
ただ、技術書でない点で、
目の前の課題に困っている人に、すぐ
解決策に手が届くものではないかもしれませんが、
一般ビジネス書としては、相当内容の濃いものでしょう。
技術的なことは、直接問い合わせでもすれば
いいのかもしれませんが・・・
まあ、最近の癖として、すぐ答えを求める人も多いので、
私としても、「自分で考える」ことを大事にしていますが。
本書は「考える」ための素材をふんだんに与えてくれます。
概要としても、適度な深さと実績に裏打ちされた
論が展開されているので、非常に参考になりました。
あわせて
「だから、あなたの会社のSCMは失敗する」
も買いました。
この著者の本が長く読み継がれると良いですね。