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大転換―脱成長社会へ

価格: ¥1,680
カテゴリ: 単行本
ブランド: エヌティティ出版
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【セブン-イレブンで24時間受取りOK・送料0円!】 著者/訳者名:佐伯啓思/著 出版社名:NTT出版 発行年月:2009年03月 関連キーワード:ダイテンカン ダツ セイチヨウ シヤカイ エ だいてんかん だつ せいちよう しやかい え、 エヌ.テイ.テイシユツパン エヌテイテイシユツパン 0639 えぬ.てい.ていしゆつぱん えぬていていしゆつぱん 0639、 エヌ.テイ.テイシユツパン エヌテイテイシユツパン 0639 えぬ.てい.ていしゆつぱん えぬていていしゆつぱん 0639 文明の破綻としての経済危機。今、必要な「新たな社会」像とは。 第1章 出口のない危機第2章 ミクロとマクロの合理性第3章 経済が「モデル」を失うとき第4章 グローバリズムとは何か第5章 ニヒリズムに陥るアメリカ第6章 構造改革とは何だったのか第7章 誤解されたケインズ主義第8章 「脱成長経済」への道
行き過ぎた「市場化」の先にあるものは何か ★★★★☆
 本書は、長年にわたりグローバル資本主義に警鐘を鳴らしてきた著者による、リーマンショックを踏まえた今後の経済社会の在り方に関する論考です。

 現在の世界経済の問題点を「行き過ぎた市場化による社会の不安定化である」と整理した上で、首尾一貫した論旨を展開しています。中でも、日本の構造改革を「生産要素の徹底した市場化」と特徴付けた上で、この構造改革により、派遣切り(ヒト)、金融市場の乱高下(カネ)、大学への成果主義導入による長期的研究の阻害(チエ)、資源・食糧価格の高騰(資源・食糧)などがもたらされ社会が不安定化したとする考察は、非常に秀逸であると感じました。

 著者は、経済の市場化が行き過ぎると、社会は、自らの不安定化を回避するために「反撃」を行うと指摘します。リーマンショック以降の日本における派遣規制、金融モラトリアムなどの議論を見ると、まさに、このような「社会の反撃」が実際に起きているように思われ、著者の洞察の深さが窺われます。

 ただし、成長志向からの脱却が必要であるとする著者の結論には、同意できませんでした。確かに、経済が成熟化した結果、成長機会が昔に比べ減っていることは間違いありませんが、人間の欲望に限りがないという前提に立てば、さらなる経済発展の余地があるはずです。著者のように安易に成長をあきらめてしまうのは短絡的な気がしました。
構造改革の小さな政府路線は捨てよう、大きな政府で安心・安全を。 ★★★★★
 日本社会の進むべき道を京都大学の社会経済学教授が示した本だが、結論が三橋貴明氏が提唱するデフレビジネスにほぼ一致していることに驚いた。

 この本ではグローバリズムの推進は、文化を持たない根無し草のユダヤ・アメリカ的な価値感が、すべての物をカネに換算する文明を世界に広めることだったと歴史を振り返る。日本における構造改革もグローバリズムの推進であり、安い物を消費者が求めた結果の派遣、成果主義、フリーター問題を生んだ。個人の欲求を満たすことが資本主義により個人の生活を脅かすのである。さらに小泉政権誕生後は政治は劇場化した。

 終盤、筆者は本来のケインズ主義について、グローバリズムに反対し、自給自足の社会を目指すことだったと述べる。世界が資本主義を追求すれば、インフラ、農業、安全、環境・景観といった儲からない公共分野は無視され、社会は不安定化する。耐久消費財を大量生産する資本主義は限界を迎えるから、大きな政府が公共事業に注力しなければならないのである。日本の新幹線が政府の後押しの下、世界に売れ出しているのも上記を裏付けるものではないだろうか。
経済学の限界を超える良書 ★★★★★
現在の金融危機、世界不況を経済学の分野からの分析、対策提言を
行ったものは多くなったが、いずれも決め手に欠ける。
やはり、著者の言うようにテクニカルに表層を見て、パラダイム転換を
認識できていないように思う。

経済学の分野でも既存の概念を超えようとする行動経済学などが出てき
ているが、まだ既存理論をテクニカルに精緻化するものが主流である。

現状を打破するには、本書のような文明論的な切り口が必要であると思う。
本書は早く出版するために口述を起こしたもので、論文的厳密さに欠け
るのはやむを得ないが、この問題提起は真摯に取り上げるべきと思う。
まともな言説 ★★★★★
書かれている内容は、
非常に包括的で整合的です。
著者の主張は昔から(10年以上前から)一貫性していて、
今回の金融危機でその正しさが再認識できた数少ない論者の一人でしょう。

他のレビューにありますが、
客観的なデータが示されていないという批判はかなり的はずれです。

今回の金融大崩壊の前に、
客観的データから判断して、
深刻な事態にはならないと言っていたエコノミストと同レベルです。

著者が批判しているものが、まさにそこなのです。
(例えば価格という客観的基準への批判)
この度の金融危機の惨憺たる有様を見れば、
客観的データの信憑性がいかにあやしげなものであったかということに
気づかなければ意味がないでしょう。
うねりの提示 ★★★☆☆
著者曰く、出版を急いだ由。自然、粗い内容となる。主張の提示が先で実証、例証、傍証は後
回しとなっている。時代の転換期(であることを否定する人は、本書は読書対象から外したほ
うがよい)にあって、時間軸をかなり長めにとることが求められ、過去の学者、思想家の言説
も動員される。21世紀を占うというより、次の千年紀の前半500年くらいを見越した議論の設
定ではないか。

それには、詳細な検討が求められるのも確かな話だが、定量的に評価できるとしたら、既に一
定の方向性が見出せているともいえ、大胆な試論、緊急で提示された試論としては、及第点で
あると考える(議論の向く方向が自分の皮膚感覚と近かったことも、かかる判断には与ってい
るだろうことを、留保事項として一応書いておく)。