あまりに素朴な疑問ですが、官僚が持つ利権とは何のことなのか教えてくれます
★★★★☆
官僚が持つ利権とは何のことなのか。私は、素朴に言ってこの「官僚利権」
と言う言葉にある種の語義矛盾を感じる。官僚は公僕である。利益を上げなければならない
民間会社とは違う。公僕にはどんな利権があるのだろうか。
まず言われるのは許認可権である。しかし、認可する見返りに賄賂をもらうなら、
明らかに利権で、犯罪だから逮捕すればよい。
天下りは渡りで高額の退職金をもらったりするのは、確かに利権である。
特別会計の巨額資金は、それぞれ所属する役所の権益を守ろうということで、
利権と言う言葉にはなじまないような気もする。
本書はそんな官僚利権音痴の私にも、それが利権であることの明確な答えを教えてくれた。
それで思ったことであるが、官僚の最大の利権は、税金を気ままに使って、
自分の権力欲を満足させることではないのか。
ところで著者は、仕分け人に一度決まりかけ、何かの横槍でなることができなかったそうで、
それを怒っておられるが、ならなくてよかったのではないか。
ジャーナリストの仕事は、正義を実践することではない。
権力を監視する、番犬となり、事実を記録し伝えることであると思う。
ならば、政権の内部に入ってはならない。
内部に入ることはジャーナリストであることを放棄することである
霞が関の裏帳簿(=特別会計)に隠された巨額の血税
★★★★★
著者の「亡国予算」(実業之日本社)に続く、特別会計告発の第二弾である。近年多少は「改革」が行なわれたとはいえ、国民を欺く為に分かりにくい仕組みにしてあるとしか思えない特別会計が、いかに国民の税金を官僚のために浪費する仕組みであるかを追及している。実に、読んでいるだけでも腹立たしくなる。
先進国にはない、日本だけの会計制度である特別会計は、一般会計の5倍規模の355兆円にも及ぶマンモス会計である。一般会計が借金漬けなのに対して、特別会計には毎年50兆円もの資金が一般会計から繰り入れられ、毎年多額の不用金を残し、積み立てられた資金も膨大である。特別会計こそが、「所轄官庁→特殊法人・特別行政法人→公益法人」という流れにより、無駄なモノを作り、天下り官僚を養う、霞が関の裏帳簿である。
著者の試算によれば、08年3月末段階の埋蔵金は、特別会計のフロー(可処分剰余金)で約39.2兆円、ストック(可処分積立金)で47.4兆円、総額86.6兆円である。継続性のあるフロー分の39.2兆円だけでも、実に消費税15.7%にも相当する!「消費税増税ありき」のマスコミでは、議論すらされない事実がここにある。
民主党は、特別会計に対する事業仕分けを計画しているが、事業仕分けが本当に特別会計の闇を切り開くのか、本書を熟読して、監視したいものである。なお、著者は民主党が先に実施した事業仕分けで、事務局から仕分け人を依頼されていたが、最終的にはどこからかの横槍で仕分け人からはずされたとのことである。特別会計の闇の深さを物語るエピソードである。最終的には、特別会計の全廃しか日本を救う道はない。