【セブン-イレブンで24時間受取りOK・送料0円!】 著者/訳者名:大熊肇/著 出版社名:彩雲出版 発売所名:星雲社(発売) 発行年月:2009年04月 関連キーワード:モジ ノ ホネグミ ジタイ コウコツブン カラ ジヨウヨウ カンジ マデ もじ の ほねぐみ じたい こうこつぶん から じようよう かんじ まで、 サイウンシユツパン セイウンシヤ 4032 さいうんしゆつぱん せいうんしや 4032、 サイウンシユツパン セイウンシヤ 4032 さいうんしゆつぱん せいうんしや 4032 字体は「文字の骨組みの概念」である。横線を三本書けば「三」、縦線を三本書けば「川」などという概念、これを「字体」という。では横線ではなく点が縦に三つ並んでいたらどうだろう。「三」と読める人もいるし読めない人もいる。概念には個人差があるのだ。文字が誕生してから現代まで、人々はどんな字を読み、書いてきたのか。現在書いている字体はどのように決まったのか。詳細な資料を挙げて字体を読む。 第1章 骨組みの
氷解の一冊
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「令」の下の部分は、「マ」ではないのか。
「北」の偏のたて棒は、下に突き通すのかどうか。
子供時代、本の活字が教科書の形と違うことに、
戸惑った人は多いのではないだろうか。
その辺の答えが、本書を通して数十年ぶりにわかった。
簡単に言えば、
印刷用の字と手書きの字にはそれぞれ別の歴史があり、
どちらが正しいわけでもなく、
印刷の字体に合わせて書く必要もない、ということらしい。
さらに、批判の多い「常用漢字」の形が、
実は手書きの歴史をかなり調べて決められたこと。
なのに、「正統な形を守れ」という批判ばかりがクローズアップされ、
一方で小学校では、不要に厳密な指導が行われていること。
などなどの話が、多くの文献や資料による根拠を示しながら進み、
意外な話にも説得力がある。
ところで、著者は漢字学者ではなく、
書道家であり、出版デザイナーである。
そのためか、巷の「あるべき論」的な漢字解説とはひと味違う。
印刷書体を筆運びの観点から分析するくだりや、
「丈」に時々ついている「丶」は何なのかという話は
著者のキャリアならではだし、
「円」という字の意外な昔の姿とか、
「徒」や「従」がなり損なった字形など、
文字のパラレルワールドを見るような興味深い話も入っている。
この本、書道コーナーで見かけることがあるが、
漢字や日本語などのコーナーにも置いて、
多くの人々の目に触れるようにすべきだと思う。
外国人に自慢したくなります
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表紙カバーの折り込んであるところ、なんという部分なのかは知らないが、
ここにある文章にまずヤラれてしまった。
字体は「文字の骨組みの概念」である。
横線を三本書けば「三」、縦線を三本書けば「川」などという概念、これを「字体」という。
では横線ではなく点が縦に三つ並んでいたらどうだろう。「三」と読める人もいるし読めない人もいる。
概念には個人差があるのだ。
本のページを開く前、序章よりも前の段階なのにこのワクワク感はどうだ。
例えば多少なりとも音楽が好きだったりして、
「音」と「音楽」の境目がどこにあるか、などという事を考えた事のある人ならばハッとするはずだ。
少なくとも私はそうだった。
合併によってさいたま市が誕生した時、
「さいたま市の「さ」はつながるのかつながらないのか」
という問い合わせが市役所にたくさん来た話には笑ってしまったし、
肉の「にく」は音読みだったという事実には正直愕然としてしまった。
たまに漢字が好きだという外国人に出会う事があるが、
この本を読み終えた今ならば彼らの気持ちが今更ながら分かるような気がするし、
なんなら彼らに対してちょっとした漢字の知識を披露する事だって出来るような気がする。
「肉」の訓読みは?
ご自分で確かめてみる事をお勧めする。
学校教育に関わる人に読んでもらいたい「文字の本」
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この本は,我々が日常使用している文字,主に漢字の「字体」について書かれた本です。書道家であり,ブックデザイナーであり,印刷史にも通じる著者が「字体」という概念の全体像を多面的に考察し,異体字を使い分け「文字を渡ること」の必然性や素晴らしさを説くものです。
字体とは? 常用漢字表とは? という基本的なところから,「『著』と『着』はもともと同じ字」,「しんにょうの点はいくつか」といった発展的なものまで,50もの題目を積極的に解説していきます。丁寧な図版と平易な言葉を用い,さらに所々に質問が挿入されるなど,読みやすい構成で初心者でも楽しく読むことができます。また,巻末にはよく引用される資料が収録されているので根拠を速やかに確認することができます。
特に注目すべき点は,常用漢字表にある「縦線をハネた『木』」が学校で不正解にされることと,学習指導要領に準拠したという「教育用」と称する明朝体に関する問題が紹介されていることだと私は思います。この「字体」に関連する二つの問題は,児童・生徒に無用な負担を与え知識の習得に影を落としているばかりか,文化の退歩に繋がる問題に発展しようとしています。
「教育用」と称する明朝体に関してある編集者は「ハウスルールにないので使わない」と言い,ある印刷所では「きちんと使う」と言い,あるデザイナーは「おもしろいから広告で使ってしまえ」というような声が聞かれます。1.大元がぶれている。2.そのために皆どうしたら良いのかわからない。3.各々も自分の領域以上に研究しようとしない。このようなことが相互に関連し,悪い方向へのスパイラルができつつあるように思います。
このような日本語の文字の「字体」を取り巻く混乱と閉塞した状況を解きほぐし,理解への道を開くのは,この本の根底に流れるものごとに対する誠実な取り組みと,多様性や幅を受け入れられる知識と考え方ではないかと私は思います。そういった意味でこの本は,保護者,教師,教科書の著者,校正者,編集者,デザイナー,DTPオペレーターなど学校教育に関わる全ての人に是非読んでいただきたい一冊です。
カタチとしての漢字論
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帯にあった文につられて軽い気持ちで買ってみたのですが、この本は面白い! 超オススメです。
1章は難しそうなので2章から読んでみたのですが、文字について「なんでだろう?」と思っていたことが、ほとんど解決します。
文字についての謎解きがまるで推理小説を読んでいるみたいにワクワクします。
後から1章を読んでみたのですが、まず「字体」と「書体」が違うことに驚きました。「字体」っていうのは概念だったんですね。
正字体と通用体があること、当用漢字と常用漢字が違うこともはじめて知りました。JIS漢字や人名用漢字の説明は圧巻です。