ユタ・ヒップ最後の名盤。迷わず聞くべし。
★★★★☆
ブルーノートのレコード番号1530番。
ブルーノート歴25年にしてはじめてユタ・ヒップのリーダー・アルバムを買いました。
あのズート・シムズ(ts)のベスト・プレイというふれ込みどおり、は間違いないけれど、なかなかどおしてユタ・ヒップも一歩も引けを取らない演奏ぶり。
とくに「コートにすみれを」大好きです。
ジョン・コルトレーンの同曲もしみじみとしているけれど、ズート・シムズのテナーサックスも不良っぽい哀愁があって、なんともいえない味わい深さ。
ユタ・ヒップのピアノもなかなかにクールで、それでいてしっとりとしていていいです。ドイツ人女性ピアニストの演奏というものが世間的にどういうイメージだかはっきりとは言えないけれど、その演奏ぶりには少なくとも僕の持っているイメージは大いに覆されました。
「ダウン・ホーム」のリズム感も好きです。
白人テナーサックスと白人ピアニストという組み合わせもブルーノートでは希少な1枚。それにしてもユタ・ヒップがこのアルバムを最後に引退というのは惜しい。迷わず聞くべし。
主役は誰?
★★★★★
「ちょっと、アンタ!目立ちすぎじゃない。リーダー誰だと思ってんのよ、ったく」ユタ・ヒップにこう言われて、ズートもタジタジですね。「コートにすみれを」は家人もいつの間にか口ずさんでいるほどの絶品のバラードです。
妙なるコラボレーション
★★★★☆
自身がピアニストでもあった、評論家レナード・フェザーの目利きが奏功した絶妙のコンビだと思う(ファザーと書いてる方、誤植?)。スムースなシムズのサックスのヴォイシングはむしろ女性的で、ここではユタのピアノはむしろリーダー然としようと男性的。ジェンダーを飛び越して、お互い得るもの、与えるものが大きい組み合わせだっただけに、これで終わったのがことごとく残念。その後、ユタは引退して帰国せずに東海岸に留まり、NY郊外でお針子さんやっていて、今は画家ですよ。水彩が多いのも、あの頃のピア二ズムを髣髴とさせてくれます。
50年代ニューヨーク・ジャズシーンを彩るユタ・ヒップの遺産
★★★★★
ブルーノート1500番台に名を連ねる50年代ジャズの傑作は、ドイツの女性ピアニスト、ユタ・ヒップと西海岸の白人最高峰テナー、ズート・シムズによって実現した。レナード・ファザーが後見人になったところを見ると彼女の才能によほど惚れ込んでのことであったのだろう。ドイツのジャズシーンですでにハンス・コラーなどとレニー・トリスターノの影響を受け、クールジャズ的な演奏で知られていたユタがニューヨークに来たのが1955年。ハード・バップの波がニューヨークを活気付けていた頃でもあった。フェザーの肝いりでヒッコリーハウスの専属ピアニストとなったユタだが、結局6ヶ月ほどでやめてその後はジャズシーンからも身を引いている。しかし、端正でクールなピアノは当時多くのミュージシャンの話題になり、ブルーノートに3枚の傑作を残した。本作はクインテットでズート・シムズがフィーチャーされており、両者の相性もよく、ともにベストプレイを展開している。彼女の引退は惜しまれるが超幻の名盤を遺したその演奏は輝きを増すばかりだ。「コートにすみれを」を聴いていると、コルトレーンやマイルスとの共演も聴いてみたかったと思ってしまうのは僕だけではないだろう。
美しきジャケットデザイン 春先には必ず聴きたくなる
★★★★★
ズートシムズの快演に彩られた名作で我が家では春先の定番。
凛としたリリカルなタッチで冴えを見せるユタヒップ嬢を
ズートの温もりに満ちたSaxの音色が包み込む様は
肌寒気な空気の中、陽光が地上を照らすが如く
ジャケットの緑色と相まってか、まだ日の浅い春のイメージを描き立てる。
Jazzでは緑色のジャケットに名盤が多いという逸話に
(トミフラのover sea's他しかり)これも首肯させられる一枚であり、
広く聴かれて欲しい作品である。
期間限定にしろ、こういう名盤が1500円で手に入る、自室に飾れる
というのは至福と言えよう。
エドシグペンの刻むリズムといい、tpとts二管のユニゾンといい、
何とはなく良い事がありそうな、それを信じてよさそうな気にさせる
不思議な幸せ感が漂っている気がするのだが、わたしだけ?