白痴(上)
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この古典教養文庫版の「白痴」には次のような特長があります。
1、現代では使われない古い言い回しや表現はすべて現代人が読みやすいように変えてあります。
2、現代人には意味の取りにくい文や明らかに誤訳と思われる文は、忠実な英訳や他の日本語訳を参考にして平易な文に書きなおしました。しかし、その場合でも原文の高い格調はなるべく崩さないように気をつけました。
3、原文で触れられた場所、人物、絵画などを中心に、関連する画像をいくつか挿入しましたので、より興味深く読み進めることができます。また、冒頭に登場人物の一覧を掲載しました。
4、わかりにくい言葉や、登場人物、出来事、作品などについての適切な注を、割り注の形で入れてありますので、本文の理解が深まります。
(ドストエフスキーについて)
ドストエフスキーは、同時期のロシアのもう一人の文豪トルストイと並び称されているロシアの文豪です。代表作には、この作品を含めて五大長編と言われる「罪と罰」・「悪霊」・「未成年」・「カラマーゾフの兄弟」があります。
アクの強いユーモアを交えながらも、深刻な主題を扱う一見饒舌な文章は、非常に特徴的なものがあります。
(「白痴」について)
「白痴」はフョードル・ドストエフスキーの長編小説です。
「罪と罰」に続く長編で、他の「悪霊」、「未成年」、「カラマーゾフの兄弟」と共に後期五大長編作品と言われています。中でも最も叙情的な作品として知られています。
「戦争と平和」「アンナ・カレーニナ」を書いた同時期のもう一人の文豪レフ・トルストイは本作について、「これはダイヤモンドだ。その値打ちを知っているものにとっては何千というダイヤモンドに匹敵する」と評したといわれています。
ドストエフスキーは、白痴であるムイシュキン公爵を、「無条件に美しい人間」を描こうとしたとその手紙の中で述べています。
(この本について)
この古典教養文庫版の「白痴」は、角川文庫版の中山省三郎訳「白痴」を元にして作成しました。
この本は、以下のように作者、翻訳者ともに死後五〇年以上を経過し、パブリックドメインとなっています。
著者 フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー(一八二一年― 一八八一年)
原訳者 中山 省三郎(一九〇四年― 一九四七年)
(古典教養文庫について)
古典教養文庫は、日本のみならず広く世界の古典を、電子書籍という形で広めようと言うプロジェクトです。以下のような特長があります。
1、古典として価値あるものだけを
これまで長く残って来たもの、これから長く読み継がれていくものだけを選んで出版します。
2、読みやすいレイアウト
文章のまとまりを、適切な改ページで区切って、電子書籍デバイスはもちろん、iPhoneやAndroidなどのスマートフォン、iPadなどのタブレットでの読書に最適化しました。また索引を付けましたので、目次から直接アクセスできます。
青空文庫をベースとしている場合も、適切に処理してありますので、そのまま青空文庫の物をダウンロードして読むよりも格段に読みやすくなっています。
3、美しい表紙
プロのデザイナーによる美しい表紙をつけました。書籍と関連づけられた美しい表紙で、実際の本を読むような感覚に浸れます。
4、スピーディーな改版
紙の本と違い、誤植の修正や改訂などすぐに対応でき、刻々と進化を続けます。