法華経による宗教論
★★★★★
最先端の宗教論者による法華経入門。法華経の内容と性格をわかりやすく解説してくれるだけでなく、その解説にあわせて「宗教」に対する態度のとり方が様々な角度からくりかえし反省され論じられる。「SFX」「スペースオペラ」的に壮大な(誇大妄想的な?)ビジョンを提示する法華経の途方もない魅力を、既存の研究成果をしっかりと踏まえながら解読しつつ、しかし著者独自の鋭い見解が(やや過剰な)比ゆをたっぷりと用いながら語られる。これは法華経好きの人はもちろんのこと、法華経そのものには関心が無いかあまり好きではないが、仏教や宗教の見方を刷新するための知見を得たい人などでも、最後までかなり興味津々で読みとおせるのではないかと思う。