難民問題の本質を知るための必読書
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難民問題は国際的な問題であり、多数の国家と各種NPO、国連機関などが関わっている。しかし、彼らがいつも難民にとって最適な手段を講じているとは限らない。むしろ難民にとって死の危機に直面させられるような決断を下す時もある。UNHCRなどの国連機関は中立的であり、難民問題解決に向けて常に最適な判断を下している。そのように思っている皆様にこそ本書をおすすめしたい。
難民問題に関わる、難民受入国、難民出身国、拠出国(ドナー)、UNHCR、各NPOの中で政治・経済・軍事的な関係が生じ、各アクターが中立的に機能していないことが多い。このような事情は一般の人々にこのような事情が知れ渡ることはあまりない。本書は元UNHCR職員である筆者が実体験を交えながら各アクターの働きを客観的に分析している。各アクターは難民支援を建前として、実は国益のためであることが多い。本書はこのような現状を詳しく解説している。
ルワンダ政治に関わる各アクターの関係など理解に時間がかかる部分もあるかもしれないが、難民問題の本質を知るうえで欠かせない情報が綴られている。難民問題に関心を持った皆様にはぜひ読んでいただきたい一冊。