犬、いぬ、イヌ・・・
★★★★★
共に東西極道の二代目が、新事業を始める為にパートナーとなる事から話は始まる。
出会った当初、田舎ヤクザと勇馬をバカにし、優位に立とうとする紫朗だった。が、
蓋を開ければ、勇馬の方が一枚上手で、結局紫朗は拘束されて、犬扱いで躾けられる。
そんな勇馬はお洒落で優しい所も有るのだけれど、結構傲慢。
なんと言っても、超のつく犬好きでオマケに変態。
紫朗の事を犬扱いで、飼いたいとも言う。
だが、紫朗が大人しく言いなりになるわけも無く、キャンキャン吠えて反抗する。
勇馬はダメな紫朗を脅しつつ優しく接し、飴と鞭を与えながら上へ上へと導いていく。
紫朗は、負けず嫌いだし、決して女々しい受けではなく、
隙を見て優位に立とうと悪戦苦闘しているから、ワクワクしたし そのやり取りが面白かった。
冒頭からテンポ良く進む楽しい展開に、満足のうち読了しました。
スーパードライ
★★★★☆
歌舞伎の女形を評するのに、「女の背中はただの背中だが、女形の背中は女の背中だ」という言葉があるそうです。
これをBLに置き換えれば、「男の背中はただの背中だが、攻の背中は男の背中だ」と言えるかもしれません。
剛しいらさんは男の背中を持つ攻を書いたら日本一のBL作家ではないでしょうか。
いったい何で稼いでいるのかわからないヤクザものが多い中、本作ではドッグレース事業を起こすというシノギの方法がきっちり描かれていて面白かったです。
国や大企業がバックについた健全な遊技場という旗印のもと、アンダーワールドで繰り広げられる国際的な利権争い。
罠や制裁、恐喝など結構ホンモノ志向なのでほのぼのBL好きの方にはおすすめしません。
ストーリーはいっぱしの二代目を気取るお坊ちゃんヤクザ、紫朗の成長物語でもあります。
彼の「躾」をするのが別の組の二代目、勇馬で、こちらは任侠道を地で行く苦労人。惚れた弱みで紫朗に振り回されるけれど、最後までリードは放さない。
スキあらばのさばろうとする紫朗に対し、「おれは執事じゃないぞ」と形勢逆転するところは、二頭の大型犬の勢力争いのようでぞくぞくしました。
ところで、リンクスから作品を出すのは初めてだそうです。剛作品が出ていないレーベルがまだあったとは(笑)
★4個にしましたが、5個目の★は続編に取っておきたいのです。待ってます。