内容的には、睡眠の話をサーカディアンリズムや各種のホルモンの分泌による効果が説明され、さらに脳のA10神経系の話や情報の門番としてのRASの話に展開していくなどまったく関係のない話ではない。が、これらは本のタイトルが謳うところにはうまく結び付けられていない。
というより、著者の書き方にはその意図すら感じられない。本を売るために出版社が勝手につけたタイトルなのだろうか。
著者の主張としては、25億年分の経験を持つわれわれの「勝ち組遺伝子」を発動させるため、ストレスに満ちた「積極思考」ではなく「楽天思考」という姿勢をとるべきであるというところか。先にあげたような睡眠や脳の話にくわえ、このためのテクニックとしてなのか、寝る前の「まくら言葉」や「未来日記」が軽く紹介されている。さらに取ってつけたようにサプリメントの話が最後に載っている。
著者の主張は、それなりに興味深く、脳や睡眠、ホルモンなどに関する雑学(なので当然体系的な知識ではない)やタイトルのようなちょっとした習慣を求める向きには良いかもしれないが、が、エミール・クーエなどの言葉などを単に引用している部分も多く、本人の言葉としての説得力がいまいちない。タイトルを中心とした内容を期待する方にはお勧めできない。
ただの偶然かもしれないが、自分自身のモチベーションが上がっているのは確かである。
この本はただ筆者の考えが述べられているだけではなく、きちんと脳科学の理論を
ふまえて分かりやすく説明しているので、納得し実践してみようと思えた。
この本は私にとって社会生活を送る上で、この先ずっと支えてくれるものになると思う。
自分に自信を無くしたとき、きっとこの本に助けられるだろう。
ポジティブ思考を求めている人だけでなく、雑学を知りたい人にも面白く読める本だと思う。
事例は読み終えた今夜にでも簡単にはできるが、しかし実感までのレベルに達するには既に形成された人格に志向している事柄が多いだけに、それらの実践は慣習というレベルまで自己鍛錬する必要がある。
読むと一種の催眠療法のようにいまの自分のわるい所やいままでみることをさけていた部分にポジティブな光をあて影の輪郭をうかびあがらさせてくれる。
500万年のホモ・サピエンスまで遡り積み上げられてきた可能性を信じることがこの本の源流にあり、強調されているのがおもしろい。
ある種精神世界の悟りのように現実ばなれている論のような印象をうけるが、精神集中したときの感覚を注意深く観察してみると納得できてしまう。
あっちの世界とこっちの世界の交流はある方法をつかえばつながるのだというのをちょっとした脳のメカニズムで説明してしまう文章はみごとだ。
結局のところ人間という主体からはなれて心に問い詰めていけば、そこには先祖代々生き抜いてきた智慧があり、それを引きだすためには自分に許可をあたえる「言葉」が必要となり、その言葉は欲の器から感情をくみあげ、その感情が「快(喜)」であればあるほど良いイマジネーションは生まれ、それが現に存在するまで幾多の過程におとずれる事象に自分の感情が翻弄されず定常を保ちつづけあたかも苦もなく達成できる感覚となり、その一連の経験がいわゆる成功体験となり記憶される。その経験の継続はある地点まで脳の暴走によりおこなわれるがしかるべきところで感情は抑制されそれは心身統一の境地に達することを意味する、これらを約1時間の読書体験から気づかせてくれる。
文章は簡素であるが、奥は深い。