激戦の先にあるもの
★★★★☆
前巻で米軍の夜襲を退けたものの、トラックへの米陸軍航空隊の攻撃と、機動部隊戦で航空戦力をすり減らされる日本側。対する米軍も、撃墜数を増やしつつも決死の覚悟の日本側の攻撃によって航空戦力を失い、舞台はトラック沖での水上部隊同士の夜戦へと移り変わる。
水を得た魚のように張り切る南雲提督とキンメルの両提督、大和級vsサウスダコタ、ノースカロライナ級という双方の主力艦同士の激突などの見せ場はあれど、艦橋内からの支店が多い所為か、何故そうなったのかわからないまま戦闘が続くのが少し物足りない。何故その距離で貫通できないのか、何故その距離で貫通したのか、スペックを並べろとはいわないが、情景の向こうにあるものが見えた方が戦闘の意味が掴めるのではないだろうか。
そんなことを思うのも、史実以上の大戦果を得ながらも、先行きがくらいという日米の根本的な国力の違いがまざまざと見て取れるからだろうか。
今後の方針を巡る内閣内部での意見の対立や着々と力を蓄えるドイツの存在もあって、次の第三部も一筋縄ではいきそうもない。その中でも芽生え始めた日本海軍の新たなドクトリンがいよいよ戦時体制が軌道に乗った米軍をどう迎え撃つのか、今後が楽しみである。