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バベットの晩餐会 (ちくま文庫)

価格: ¥714
カテゴリ: 文庫
ブランド: 筑摩書房
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作家の「力」に圧倒される ★★★★★
映画「バベットの晩餐会」に触発されて読んだ作品です。
ところが、驚いたことに、この作品が短編であり、非常に簡潔に書かれていることです。
しかし、その短い文章に奥深い情景がものの見事に描き出されます。
まさに、作家の「力」でしょう。
この本は、デンマーク語版(カレン・ブリクセン名義)からの翻訳だそうで、英語版(イサク・ディーネセン名義)とは、後半の文章の量が相当違うと言うことです。
確かに、前半の淡々とした短い文章に比べ、後半一気に描写が詳細となり、クライマックスの話の盛り上がりは相当なものです。
その意味では、デンマーク語版こそが作品の完成形であり、バベットの「芸術としての」晩餐会が、食卓についた人々を幸せの極致に至らしめた最高の表現なのでしょう。

一緒に収められている「エーレンガート」は、国家の存亡の危機にあって、「女傑」とも言える侍女エーレンガートが、最高の機知を発揮する物語です。
こちらも映像が目に浮かぶような素晴らしい文章なのですが、残念ながら私の北方神話やギリシア・ローマ神話などに対する知識が覚束なく、作者の意図を十分に汲み止められなかった恨みがあります。

この本を読んで、更にこの作者の作品が読みたくて堪らなくなりました。
芸術と人生の幸福な出会い ★★★★★
「バベットの晩餐会」は、ここ数年で読んだ中ででいちばん心に残っている小説だ。良い作品は読み終わって、何ヶ月経っても何年経っても、感動が色あせないばかりか、折りに触れてよみがえり、また新しい発見や考えの端緒を与えてくれる。この作品もそうで、読み終わったときは、なんともいえず後味の良い印象が残ったのを覚えている。たぶん童話のように平易な文章のために、美しい物語だと、その時はそれで終わったが、読み終わって何年も経った今、何かのきっかけで思い出し、この作品のテーマの奥深さに思い至ったのだった。
それは、芸術の意味、ということ。
バベットは富くじで手にした大金で、そのお金があれば一生安泰に暮らせるほどの大金で、彼女の愛する姉妹と姉妹の親しい人たちのための一度きりの晩餐会を開くことに決める。
かつて、王侯貴族の料理人だったバベットの芸術的な料理の才能の全てが注がれた料理は、彼らを幸せにした。一晩の夢のように幸せな時。この作品は教えてくれる。芸術とはこのようにして人々に奉仕するものなのだ、と。そして、本当に幸せなことは、バベットの料理、その芸術が、初めてそれにふさわしい主人に出会えたこと。このように幸せな出会いがいかに稀有なものであるか。それがこの作品の世界をこんなにも幸せに喜びに満ちたものにしている。芸術にふさわしい主人は、この姉妹のような人々。働き続ける善良な人々。芸術に関して知識を持っている人、芸術のパトロンになれる力を持っている人はたくさんいるが、芸術が真に奉仕するべき相手はそれではなく、芸術のことを何も知らなくてもそれによって幸せになれる人、その喜びに値する人のことなのだ。
だから、たった一晩だけなんて、と嘆くことは何もない。一瞬が永遠の意味を持つこともあるのだから。
映画化作品も原作の世界を忠実に表現しているので、DVDが現在発売されていないのがとても残念です。

豊穣な物語 ★★★★★
個人的には、20世紀最大の物語作家と呼ばれるディーネセンのベスト。ほとんど短篇・中篇しか書いていない著者がこのように呼ばれるのも、その物語の不思議な広がりと深さを考えれば当然と納得できる。貴族や枢機卿、オペラの歌姫や神を畏れる人々が登場する彼女の物語世界は、それだけ見るとまるでロマンティックなゴシック小説のようだが、実はまったく違う。エレガントで強靭きわまる知性が紡ぎ出す物語はどんな既成のフォーマットにも則っておらず、その背後には深く逆説的な形而上学が感じられる。この作品は円熟期のもので、その筆致にも穏やかな余裕が感じられ、独特のストーリー展開から簡潔で香り高い文章まで、本当にどこをとっても見事な芸術品だ。モーツアルトのドン・ジョバンニや聖書からの引用が運命的な物語と響き合い、まか不思議な芸術と愛の物語がシンフォニーのように展開する。敬虔で質素な老姉妹の食卓に奇跡のように最高のフランス料理が現れるシーンは、美食文学というものがあるとすれば文句なくその最高峰ではないだろうか。空虚な心を持て余した将軍が、やがて「この美しい世界には不可能なことなど何一つない」と悟る結末の心に染み入るような素晴らしさ。私はこの短い物語を何度読み返したか分からないが、読み返す度に感動が深くなっていく。映画も良いので、是非観て下さい。
芸術の女神と恋の女神 ★★★★★
 作者は男性名ですが、本当は女性で別名でも作品を発表しています。

「バベットの晩餐会」は映画を見てから読んだので、文章量の少なさが意外に感じましたが、この少なさで映画を凌駕する深さと広がりと味わいを持っていることに驚きました。「エーレンガード」は、国をひっくり返すほどのスキャンダルを毅然と守り抜く乙女の物語で、禁欲的な恋愛模様も楽しみの一つです。。

 どちらのヒロインも力強い美しさを持っていて、解説で田中優子さんが書かれているように「女神の降り立つ物語」だと思います。

いつまでたっても届きません。対応も遅い… ★☆☆☆☆
いつまでたっても届きません。対応も遅い。BOOKFAN最悪です。 謝罪もありません。