平和な田舎町コブに、自転車に乗ってどこからともなく現れた料理人コンラッド。町の半分を所有するヒル家にコックとして雇われた彼は、舌もとろけるような料理を次々と作り出した。 しかし、やがて奇妙なことが起きた。 コンラッドの素晴らしい料理を食べ続けるうちに、肥満していた者は痩せはじめ、痩せていた者は太りはじめたのだ・・・・・。 悪魔的な名コックが巻き起こす奇想天外な大騒動を描くブラック・ユーモアの会心作。(本書カバーコピーより)
文句なしの面白さ
★★★★★
この小説は何年も前に初めて読み、それ以来、思い出すと読みたくなります。
ブラックユーモアでこれほど楽しめるとは思わなかったので
最初は本当に衝撃でした。
そして、何がこれほど自分を惹き付けるのか、今でもよく分らないんです。
文章力なのか、内容の奇抜さからなのか・・?
はたまた、料理の記述が美味しそうだからなのか?
この小説の文章を読んでいると、なんとなく背筋がゾワゾワってするんです。
作者さんは本当に天才だと思います。
こんな味わいの本はあまりない
★★★★★
もう20年近くまえ?
吉行淳之介だったかはっきりしないけど
雑誌で有名な作家さんがおススメの本として紹介してたので
読んでみたところ、どんぴしゃツボでした
きみょ〜〜〜な味わいの本で
分類するならミステリー?ファンタジー?
まったく登場人物たちに共感をいだかせない書きぶりがいっそ清々しい
出てくる料理の味を想像するのも楽しいし
料理というものの持つ魔術的で怪しげなところが最大限に生かされている
何度読んでも、ひととき現実を忘れる一冊!
作者『ハリー・クレッシング』自体が謎の人物
★★★★★
オリジナルは1965年、ランダムハウス社よりリリース。作者『ハリー・クレッシング』自体が謎の人物でランダム社も名前が変名であることしか告知しなかったという、既に謎に満ちた作品である。ただ筆力には素晴らしいものがあって、おそらくはぼくらの知っている著名な『誰か』なことは間違いないだろう。ぼくの予想はロアルド・ダールである。
実に奇妙なストーリーである。作者がどういう意図でこういう作品を書きたくなったのかが最も不思議で読んでいて気になって仕方がなくなる。確かに『食』にはこういうチカラがあるのだ、と思う。まちがいなく主人公のコンラッドは悪魔で、彼は『料理』で人を自由自在に操る。実に怖い話である。
読んでいて荒木飛呂彦のJOJO第四部に登場するスタンド使いトニオ・トラサルディーの『パール・ジャム』を思い出した。彼のスタンドは料理に潜み、食べる人を健康にするが。コンラッドの料理は逆様だ。でもきっとこの作品を荒木飛呂彦は読んでるな、と思う。
手放せない一冊
★★★★★
数年前に購入して読んだが、不思議な魅力があって手放すことが
できず、また読んでみた。
内容はある意味恐ろしいが、ミステリーという枠で括ってしまう
のは勿体ない。
自分のまわりにこんな主人公がいたら嫌だと心から思ってしまう。
何度も読み返したくなる味のある作品だ。
わからない面白さ
★★★★★
最後はもっと怖くなるかと思いましたが
残酷な話なのにそうは感じさせない余韻がありました。
あのお城に対する執着が何なのかを知りたくなります。
コンラッドの勉強熱心さはただ者ではないと感心しました