月夜のでんしんばしら
★★★★★
宮沢賢治の作品のなかで「月夜のでんしんばしら」を
読んだとき「あーーー彼はどんな人なのかと」自分が
遅く生まれてきたことをくやみました。
動かないでんしんばしら、そしてやはりうごけない
でんしんばしら達との夜の語らい。もーなにもいいません
読んでくださいとしか。
同時代にいたらわたしは彼のうしろをゆっくりと
歩いてみたかった。ことばは必要以上に飾りすぎるが
宮沢賢治という人は飾らない。すべてが良いことではない
が、悪いことばかりではないときっとカタカナで子供ばかりでなく
わたくしたち大人にももう一度問いかけていたように
思えました。
時代はかわっても、基本はいつも変わらない。
今、宮沢賢治が人々から親しまれているというのは、行き止まり
の閉塞の中にいるわたくしたちが新鮮な空気を浴しているからなのかも
しれません。