あだち先生の中期の作品を集めたもので、その名の通り少女誌に掲載されたものが多いです。そのため男性のあだちファンの方は特に読んだ事がない話も多いと思いますから、あだち作品の魅力を再発見できると思います。

僕の一番オススメは、「Season」です。これは四季の移り変わりを下地にしてストーリーが展開します。この作品でのあだち先生の表現の巧さが素晴らしいです。
70年代の少女漫画は、四季の情緒の表現が重要視されていたので、その世界で鍛えられたセンスは秀逸です。ぜひ読んで頂きたい物語です。

あと、やはり作品の持つ温かみが良いですね。何か、どんなに疲れている時でも、あだち作品は読みたくなります。

あだち作品を読んだ事が無い方にも、あえてオススメします。これは短編集の中でも特に名作揃いだからです。

この短編作品集の目玉は、何と言ってもあの初期の名作「居候」シリーズ三部作がまとめて読めることでしょう。
四人姉妹が営む銭湯「亀の湯」に賭布銀次(いかさまバクチの天才、通称・サイの目銀次)が転がり込むところから
話が始まり、銀次と次女雅子のほのぼのとした恋愛模様を描く作品です。(現在連載されている「クロスゲーム」
にも四姉妹が出てきますが、この作品の四姉妹が原型のような気がします)

「恋人宣言」もいいです。あだち充先生の短編の中では一番好きな作品ですね。確か少年漫画雑誌が初出誌だと
思いましたが、当時あまりにも気に入りすぎて、雑誌を何度も読み返したのを覚えています。

「居候よりひとこと」、「続・居候よりひとこと」、「居候はつらいよ」、「恋人宣言」、「SEASON」、
「エースふたり」、「気まぐれパンチ」の7作品が収録されています。

古い…古すぎるよコレ…。昔の漫画らしく、展開が古いです。
ガールズとあるから、スローステップ的な感じを期待してたら肩透かしくらいました。
ぬるいファンの買うものじゃないです。

でも!あだち節はしっかりあります。《あだち作品は全部集めてる》ファンなら買いですね。

今作にはあだち先生が最近描かれた作品は収載されていません。
いずれも発表からかなりの年月を経たものばかりです。

しかし、やはり素晴らしいです。甘酸っぱいです。
私もこんな真っ直ぐな恋愛をしていた時期があったなあ、と。

あだち先生の作品は時を経ても色あせないものだなあ、と今回改めて感じました。
先生のメッセージは世代が代わっても普遍なものなのですね。

また、先生が描かれる女の子は抜群にかわいいです。
今も昔も変わらないんですね。

初夏を迎えたこの季節、あだち先生の爽やかな風に吹かれてみませんか？