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「標準模型」の宇宙 現代物理の金字塔を楽しむ

価格: ¥2,940
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日経BP社
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「質量の起源」に本当に関心がある方にお勧めします。 ★★★★★
この本の素晴らしさ、主な目的については、
他の素晴らしいレビューが既に十分に論じてくださっていますので、なるべくそれ以外のことを。

この本は、題名からして抽象的な「ゲージ理論」「標準模型」を説明する本とされてしまいそうです。
確かにその通りなのですが、個人的には、この本の白眉は、
それまで緻密に論じてきた標準模型、ゲージ理論を用いて、
物質質量の由来を論じる第9章以下の部分な気がするのです。

似たようなスタンスの本に、
物質のすべては光―現代物理学が明かす、力と質量の起源
がありますが、こちらは、陽子・中性子の質量のうち、クオークに由来する2パーセント以外の
98パーセントの質量の起源について主に論じた本です。

そして、この本は、上記本がほぼ扱わなかったクオークに由来する2パーセントの部分、
すなわち、ヒッグス場による質量獲得について実に納得のいく逃げのない説明を
標準模型、ゲージ理論を基礎に行ってくれるのです。

この手の本は、幾つも読んできましたが、
やはりこの2冊に勝る本は、今のところ存在していない気がします。

質量の起源、という具体的な問題に関心をお持ちの方、
是非、この本をお読み下さい。後悔はさせません。
素粒子物理を扱ったポピュラーサイエンスの極北 ★★★★★
著者自身が「まえがき」で述べているように、この本では、素粒子物理学の歴史や、研究者の人物に関するエピソードには紙数を割いていません。なのに、本文だけで450ページ以上あります。これだと、書きようによっては教科書になってしまいます。事実、構成は、前半1/3が現代物理学(相対論、量子力学から場の量子論まで)、中盤1/3が対称性と群論、後半1/3がそれまでの「基礎知識」を土台にしたゲージ理論、標準模型など最新の素粒子物理学の到達点の解説となっていて、教科書的です。なのに、ワクワクする読み物になっているのは著者が自分の研究対象を心底楽しんでいるからでしょう。「ほら、おもしろいでしょう」という著者の気持ちが行間にあふれています。
しかしながら、正面から現代自然科学の尖端を説明しようとしているだけに、内容はやはり難しく、すらすら読めるとは言えません。クオーク、対称性、標準模型といった概念について何の知識もない人がいきなり本書に取り組むのは「挑戦」だと思います。「ガリレオの指」「もっとも美しい対称性」など、より平易に書かれたポピュラーサイエンスで“地ならし”してから、本書へと読み進むのがいいように感じます。一方で、素粒子物理学を扱ったポピュラーサイエンスに、本書の次(further reading)は存在しないと思います。この本を読んでさらに知りたいと思ったら、専門書を手にとるしかないと思います。そのくらい高度な内容が、ごまかし抜きに書かれています。著者は本書を書き上げるのに4年を費やしたとのことですが、すばらしい偉業です。
初心者でも素粒子物理学についてもう一歩知りたい人にお勧めです ★★★★★
素粒子物理学のなかで標準模型とはどういうものか真正面から初心者向けを目指して書かれています。とはいえ全くの初心者が最初に読むのには少々難しいだろうと思います。初心者向けの他の素粒子物理学の本を読んで、対称性、不変性、保存則、ネーター、ゲージ理論、ゲージ不変、ヤン-ミルズ理論、パリティの破れ、リー群、U(1)、SU(2)、SU(3)、ヒッグス等の言葉のどれかでももっと知りたいと思ったら是非手にとることをお勧めします。初心者向けにこれらの意味をこの本ほど真正面から説明を試みている本は少ないと思います。素粒子物理学に携わった人達の物語ではありませんが、要所要所でその時点で名だたる物理学者がどのように問題をとらえ解決しようとしていたかという短い話も折り込まれていて、多少息抜きになります。それくらい真正面から理論面の話をかみ砕いて説明しようという努力にあふれています。話の中心になる第8章ゲージ理論の説明に入るまでに280ページもの周到な準備説明が続くのでめげてしまうかもしれません。しかし、途中で多少理解が難しいところがあってもそのまま読み進めて、第8章を読めば見晴台に立った気になれると思います。レーダーマンの「対称性」という本のなかでは時計を題材にゲージ不変の説明をしているので読み比べるのもいいかもしれません

「本邦初のゲージ理論と標準模型のやさしい入門書」なのだが、かなりの"歯応え"あり ★★★★☆
本書は「Deep Down Things: The Breathtaking Beauty Of Particle Physics」(2004刊)の翻訳です。素粒子実験物理屋さんが素粒子理論の「標準模型」(強い力、弱い力、電磁力を記述する理論)について出来るだけ数式を使わずに解説しています。("非専門家向け"ですが、"量子力学"〜"場の量子論"に馴染みのない一般読者にはツライかもという意味で★1減)

"はじめに"で著者が断っているように、本書は素粒子物理学の歴史の話でもなければ、歴史の主人公の生き様の話でもなく、"こぼれ話"を紹介する本ではありません。(→ その手の話は「素粒子物理学をつくった人びと〈上〉」「〈下〉」をご参照)
本書では「標準模型」の理論的枠組みを構成している"概念的アイディア"(例:対称性と保存則(ネーターの定理)、リー群、ゲージ理論、ヒッグス場、対称性の破れ...)を言葉を尽くして説明しています。本書では特に「電弱理論」に力を入れて解説しています。「時空の各点ごとに"物差し"の向きをかえて理論を記述しても方程式が変わらない」という"ゲージ原理"と内部対称性を記述する"リー群"の性質から相互作用(vertex)の形が決まってしまうという説明は本書のハイライトの一つであり、読み応え(歯応え)があります。ヒッグス場を理論が"注文"する理由("質量"の起源)、そしてその存在を示唆する実験(Z^0ボゾンのパリティの破れの"誤差"の解釈)の解説も(理屈が分かれば)面白く読めます。標準模型の"美"がどこまで"真"か、LHCでの実験結果が待たれます。楽しみですね。(^-^)

益川先生の「現代の物質観とアインシュタインの夢」では少し物足りず、「いま、もう一つの素粒子論入門」では難しすぎる、と感じた"意欲的な読者"が本書を併読すれば、知的好奇心を満たすことができそうです。