素晴らしい脚本
★★★★★
風のガーデン
ドラマを見終わって、本を読みましたが、また別の感動が伝わってきました。
ここ数年なかった素晴らしい内容の脚本だと思います。
ドラマを見てないひとでも、読み物として感動を味わえるのではないでしょうか。
”省略の美”
★★★★★
他のドラマに比べ、ずっとセリフが少ない。
でも、シナリオを見ると、毎回かなりの量のセリフがドラマでは省略されているのがわかる。
サービス精神旺盛に、何もかもごたごたと説明的に付け加えていく昨今の状況とは正反対の方向を行くシナリオ、そしてドラマである。
そう言えば、短歌といい俳句といい、日本には”省略の文学”の歴史がちゃんと存在していたのであった。
深く重いテーマを扱いながら、時に挟まれる、ホッと息抜きできるユーモアを感じさせるシーン。倉本聰を後輩脚本家としてかわいがった、向田邦子のシナリオに通じるものを見て取った。
ドラマだけでなくシナリオも、いずれは倉本聰の最高傑作と評価されていくだろう。
シナリオを読んでいてもドラマをみると再び涙が・・・
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いつも倉本ドラマは見ています。最初はとにかくドラマに集中しようと思って見始めるのですが、2、3週間するとついシナリオを手に取り、チョットダケ読みます。しばらく我慢しているのですが、でもやっぱり結末が知りたくて、第3話くらいまでくると一気に結末まで読んでしまいます。シナリオからはセリフがシャープに、ストレートに入ってきてじーんときます。それから、「筋は全部わかっている」ドラマを見続けます。でもそこでシナリオに書かれていないことが多いことに気づき、新鮮なショックを受けます。表情、間合い、風景、音楽、etc。気がつくと本を読んだ時よりもたくさん涙が出てきていて・・・シナリオに書かれていることと書かれていないこと、その両方に深いものがあり心を打つんだと思います。
風のガーデン貞三先生の花言葉ポストカード 1 (1)
風のガーデン貞三先生の花言葉ポストカード 2 (2)
貞三先生の花言葉365篇―風のガーデン (Musashi Mook)
久しぶりに肩の力が抜けた倉本聰シナリオ
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最近の倉本作品は、妙に説教臭く、古いモノはいいんだ文句あるか
と言っているようなところさえあった。
「北の国から」の最後のほうも、そうだった。
連ドラの頃や、純や蛍が子供の頃は、こちらも素直に感情移入できたのだが、
だんだんとできなくなった。
私が年齢を食ったせいか……いや、やはり倉本作品の中に
自らの生き方や考えを主張しすぎる、ある種の「押しつけがましさ」が生まれていたと思う。
けれどもこの「風のガーデン」には、それがない。
死を覚悟した麻酔科医・中井貴一のセリフもいいが、
何と言っても父親役の緒形拳だ。
セリフのひとつひとつが、何とも味わいがある。
設定は違うが、萩原健一が主演した「君は海を見たか」を思い出した。
死を前にして人は何を望み、どう行動するか……
そんな重いテーマが、どこか飄々と、しかししみじみと描かれる。
倉本自身は変わってないと言うかもしれないが、
たとえば「北の国から」〜遺言 などとは明らかに異なる世界観を感じた。
すばらしいシナリオである。
ガーデンの美しさ
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『北の国から』『優しい時間』に続く、倉本聰の富良野三部作の完結編だという。巻頭の写真が美しい。この作品のために数年かけて造営したという花のガーデン、特にその夜のカットが、幻想的だ。花の咲くタイミングにあわせて、待機と撮影を繰り返したという、倉本氏のこだわりが感じられる。中井貴一演ずる麻酔科医師の、死への恐れと心の迷いと父や子、残されたもの、亡き者への思いが、選ばれた言葉と、それをとりまく光景の描写から、伝わる。倉本聰脚本『玩具の神様』でみごとに抑制の効いた演技を見せた中井貴一が、それをどう演ずるか、そして、ドラマ全体でどう描かれているか、まことに楽しみだ。