これまでとは違った角度からのアレクサンドロス大王史
★★★★☆
中央アジアは長い間ヨーロッパから見て未知の領域であり、歴史資料の少ない紀元前に至っては遺跡を含めた考古学的史料に頼らざるを得ず、アレクサンドロス大王の中央アジアでの動静もまた謎が多い。
この著作は、地元の考古学者の目から見た東征の痕跡の探求であり、資料的価値は高く、日本語への翻訳の意義もまた大きい。
ただ、明らかな誤訳(あるいは、著者の間違い)が目に付き星一つ減じた次第である。
34頁8行目の「アレクサンドロス軍、騎兵5万〜7万」一桁多いと思料。
45頁10行目のペルセポリスが「キュロス大王はじめ歴代の王の墓所」キュロスの墓はパサルガダエ。
54頁2行目のパルメニオンの地位に「クセルクセスがついていた」クラテロスと思料。
219頁11行目の「ガンジス川の方へ方向転換」インダス川と思料。