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アレクサンドロス大王東征記〈上〉―付インド誌 (岩波文庫)

価格: ¥1,199
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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文庫で読める最適の「アレクサンドロス大王東征伝」 ★★★★☆
現在のところ文庫版で読める最も充実した『アレクサンドロス東征記』と言えます。
 ただし、近年の西洋古典関係翻訳書の傾向として母音の長短を省略する点は、いささか感心しません。「本書が書かれたのがローマ時代だから不必要だ」などというのは、まったくの詭弁でしかあり得ません。もしも、その論法が通用するのならば、本作に記されている「ヘパイスティオン」とか「カッリステネス」etc.といった人名表記も、ローマ帝政期の発音に則して書き改めなくてはならない、ということになってしまいましょう。前四世紀の出来事をアッティケー方言で再現している原著者への敬意を表する為にも、可能な限り古典期の発音で書き表して頂きたいものです。
 往年の高津・呉両氏が活躍されていた頃が懐かしく感じられます。
やはり、東海大学版が優れている。 ★★★★☆
アッリアーノスの『インド誌』も附載されているので、たいへん親切な文庫版ではあります。
しかしながら、東海大学出版会から刊行された二冊本の対訳版に較べると、やはり誰にでもお手軽に読める袖珍本でしかありません。
索引も網羅されていないし、註釈に至っては雲泥の差。本当にアッリアーノスの作品を読んでみようという方々には、東海大学版を入手されることをオススメ致します。
また下記に「ヘレニズム時代にギリシア語の母音の長短は解消していた云々」といった意見を述べているレビューがありますが、それならば同時にギリシア語の発音も変化していた訳だから、本書は「どっちつかず」の表記になってしまい、それこそナンセンスきわまりない無定見と言うべきでしょう。
瑣末な点について ★★★★☆
ローマ帝国時代の小アジアに生まれ、ギリシア語で著述を残したアッリアノス。彼はローマ市民権を有し、ラテン名であるフラウィウスを名乗ったのだから、それをわざわざフラウィオスなんて不自然なギリシア語読みにしなくてもよかったのでは。

それからヘレニズム時代にギリシア語の発音は大きく変化し、母音の長短の区別は失われます。なので、いちいち母音の長短を記せという下の評者のようなコメントはナンセンスと言わざるを得ません。

素晴らしい名作 ★★★★★
アレクサンドロスの歴史書の中でも正史と称されるアッリアノスの著作の翻訳です。森谷公俊氏が現れる以前の日本で唯一の研究者大牟田 章氏が,20年かけて完成させた翻訳を文庫用に書き改めたものなので,本文の訳,注の正確さは折り紙つきです。

 この著作は,戦術面,遠征ルートにおいて記事が充実しています。それゆえに,アレクサンドロスの遠征で実際どのような戦いがあったのか,よく解ります。特に,グラニコス,イッソス,ガウガメラの戦いについては,布陣のし方や,戦闘の推移が詳細が忠実に書かれています。もちろん,テュロス攻防戦などの主要な戦いも記述は詳細かつ正確です。

 また,遠征途中の兵士達の入植の様子や,部下との衝突なども書かれていて,戦闘以外の面でも遠征についてよりいっそう理解できるでしょう。

 なお,上巻では,遠征の始まりから,ペルシャ帝国崩壊,インドの最果てに着くまでの記述がかれています。おそらく,アレクサンドロスの遠征が壮大のものであり,アレクサンドロスが後に英雄化されたのか実感できる一冊です。

very recommendable book ★★★★★
アレクサンドロス大王伝の決定版とも云うべき作品です。 プルータルコスの「アレクサンドロス伝」を除いて、今まで日本語では近代以降の史家や作家が書いた伝記・小説しか読めなかった(偽カッリステネースは別として)状態でしたが、ここに初めて詳細な大王伝が文庫という読みやすいコンパクトな形で上梓されました。

関心のある方は是非とも本書をお読みになることをお奨め致します。 ただ欲を云えば、ギリシア語の母音の長短を明示して頂きたかったと思います。

次回は、クルティウス・ルーフスのアレクサンドロス伝の邦訳を心より期待して居ります。