まさにゼウスの息吹がかけられたと思われるほど神がかり的なレベル
★★★★★
名前だけは誰でも知っているホメロスの「イリアス」、「オデュッセイア」ですが、実際どのような話なのか、恥ずかしながら30歳になる現在まで知りませんでした。たまたま書架に岩波児童文学の「イリアス」があったので目を通し、初めてこの世界史上最高傑作を読む機会を得ました。岩波児童文学の「イリアス」は子供向けにかなり省略されているのですが、いいところは本物の「イリアス」の冒頭にいたるまでの経緯が書かれているところです。つまりなぜアガメムノン率いるギリシャ軍がはるばる海を越えてトロイアまで攻め込んできたかという理由が書かれており、これがまったく初心者の私には大変わかりやすかったです。
「イリアス」は壮大な叙事詩だという余計な知識だけはあったものですから、本文も現代人には非常に読みにくい代物に違いないと、おろかな偏見をもっていました。実際にはまったくそのようなことはなく、普通の小説と同じようにサクサク読めます。しかも3000年の時を経て読みつがれてきた、他に類のない作品であるだけにそのスケール、文学的なレベルの高さはまさに驚異の域にありました。おそらくこれまでのべ数百億人(!)が胸を躍らせてこの作品を読んできたその凄みがじかに伝わってくるといった感じでしょうか・・・このような喜びを与えてくれる文学作品はほかにないと断言できます。それくらい凄い作品です。「イリアス」「オデュッセイア」には頻繁にギリシャ神話の神々が登場し、さまざまな登場人物に栄光を、または悲劇をもたらしますが、それらの神々の息吹がこの作品そのものにも宿っているのでは?とおもうくらいこの作品のレベルは神がかっています。
このレビューをよまれているとこいうことはおそらくまだ読んだことのない方だと思いますので、この機会にぜひ手にとって読んでください。
個人的に思ったことを・・・
★★★★★
今回初めて「イリアス」を読みました。
訳文がとっても明晰でわかりやすくて、すらすら内容を追えました。
章の冒頭ごとに、内容の概要が載っているのもいいです。後で振り返りやすかったです。
ずっと昔に書かれたお話なのに、キャラクターが魅力的で、個性がはっきり分かれているのにびっくりでした。
傲慢なアガメムノン、直情型のアキレウス、ちょっとこずるいオデュッセウス、賢者のネイアス、ワンマンなヘクトル、そして言い訳がましいパリス。
話を読んでいて、ふと現代に引き寄せて考えてみました。すると、自分に似ているのがパリスだなーと思ったりして悲しーい気持ちになりました。
かといって、アキレウスみたいに周りが死ぬより誇りが大事、というのも・・・全く賛成、とは言えないし。
そう考えてたら、オデュッセウスを一番親しく感じました。
今度時間が出来たら「オデュッセイア」読んでみたいです。
英雄たちの物語
★★★★☆
偉大なるホメロスの英雄叙事詩、トロイ戦争の物語です。映画「トロイ」がこの本を原作にしたのだとすれば、実に見事に脚色したと言うべきだろう。
ホメロスの描く英雄は戦士であると同時にとっても人間臭い男達でもある。なにせアガメムノンとアキレウスが戦利品の娘ブリセウスをめぐって派手に口喧嘩する場面ではじまります。そしてパリスとヘレネの国を滅ぼすわりにはあまり激しくない恋と、トロイを滅ぼすべくギリシア中から集められた戦士達の長いリストが続く。
戦いがはじまれば当時の習慣なんだろうけど略奪に重点が置かれてみっともないんだよね。敵を倒したらまず武具を剥ぎ、街を落とせば女と財宝を略奪する。戦争とは殺戮と略奪であるという真実を目の当たりにしたかも。
そしてオリンポスの神々はお気に入りの人間達に手を出しては混戦を深めていきます。あくまでも戦うのは人間なんだけどね。そのなりふり構わない戦いこそが、戦士としての英雄なんだろうと思った。
それでもホメロスが描く英雄達は魅力的なのかもしれない。多くの英雄が倒れトロイが陥落する結末はわかってはいても、最後まで物語に引き込まれていた。
文学の起源?
★★★★★
文学全集の第1巻はホメロスであることが多いが、現在の文学という概念で捉えられない幅広さがある、と思う。トロイア戦争の最後の数十日に的を絞って画き切った戦記だが、シュリーマンが実際にあったのだと信じて発掘へ向かったのも無理は無い。本書を読めば、底辺に何がしかの事実があったとしか思えない。当時の船団・軍団の構成から、戦争の仕方、人間関係、生活、一切が活き活きと描かれている。牛一頭と奴隷二人が交換される場面など、何気なく描かれる部分こそ、今は忘れられている当時の「普通」の状況を窺い知ることが出来る。ストーリーはスピード感があって、どうなっていくのだろう、と引き込まれること請け合いだ。一人一人の登場人物にも関心が移り、筋を追いかけたい衝動に駆られる。闘争心、嫉妬、友愛、怒り、後悔、恐怖が、全編をダイレクトに覆うが人間の感情のエッセンスだけに、吸引力は凄い。翻訳は旧訳の呉茂一氏のものより格段に読みやすく流れがある。土井晩翠の五七調の名訳が昔あったが、話の展開を明快に追うなら、この翻訳書にかぎる。それにしても、あらためて、「オデュッセイア」は著者は同じではない、という説に素人ながら賛意を示したくなった。
苦悩と運命に導かれて
★★★★★
旧約聖書と並ぶ、壮大なドラマ。戦語りに止まらず、神・半神・人間と、社会階級と運命・情・犠牲が入り乱れて、現代の社会観とは無縁なストーリー展開。不道徳な欲望は身を滅ぼし、不運に見舞われも生まれ(神の血縁者は滅びない)がよければ報われる。細切れにしたディリールはきっと誰でも知った話だろう。ギリシャ神話もこれを読んだ後ならもっとわかりやすいはず。英国に暮らしていたころ小学高学年になると、みな課題で読み暗記させられた。西洋の文化・思想の起源が集約されているのでこれを知らずして文学の学習は進んでいかない。美術・絵画の愛好者や学習者にも是非これをお勧めする。
於射手紅物屋本舗
★★★☆☆
休憩2 訳本ですので古文そのものより読みやすいかも。神話も含めたトロイヤ戦争記。全2巻です。
水羊羹書店
★★★☆☆
映画「トロイ」で一躍有名になったホメロスの「イリアス」です。「イリアス」の邦訳は何冊か出版されていますが、比較的読みやすく、値段もお手軽なのでお勧めです。
希文堂
★★★☆☆
呉訳よりも日本語としての難易度は低め。高校生くらいでも読めるようです。上巻には邦訳文献の紹介を含む解説、下巻には索引がついていて、これがけっこう便利。詩行ごとに改行せずに散文のように話の切れ目で段落を分け、段落の終わりにまとめて(例: 四二-五二)詩行の番号を示すという体裁。原文と対照するには使いづらいものの、はじめてイーリアスを読むというのであれば、呉訳や土井訳よりもとっつきやすいかも知れません。
きゃべつ小屋
★★★★☆
映画『トロイ』の基になってる作品です。学生時代ギリシア史を専攻していたので、卒論の為に読み尽くしました。先日映画を見ました。もちろんかなり脚色されていますが、映画に興味をお持ちの方は一度読んでみてください。
つばき山書店
★★★★★
この物語の
躍動感と臨場感
そして
魅力あふれる多くの英雄たちは
どれだけ時代がたっても
失われるものではないです!
読むに際しての注意といえば
人物が大量に登場する点ので
ちょっと覚悟が必要といった
ところでしょうか
雪と葉っぱの本屋さん
★★★★☆
映画「トロイ」を見て興味を持ったので読みました。
人物名がややこしかったり話があっちにいったりこっとにいったりで多少読みにくいですが、その世界にハマれば、夢中になって読めます。冒頭からアキレス、激しいです(笑)
カタヨリ歴史書店
★★★★☆
「トロイの木馬」で有名な、ギリシアのスパルタと、トルコのトロイアの戦争の叙事詩です。ギリシア神話の神様たちはかなり感情が人間的なので、人間達の戦争だけでなく、神様たちも二派に別れて戦争してしまいます。英雄アキレウスもでてきますが、かれも英雄のわりにはワガママ・・・。【上下2巻】
航海本日誌
★★★★☆
実際にこの本は読んではいないのだけれど、英語版をかいつまんで読んだりあらすじ読んだり内容は全部知ってます。ホメロスはこのほかに「オデュッセイア」を書いている人であり、古代ギリシャの吟遊詩人で色々な神話・民話をかき集めて書いた人。この本はトロイヤ戦争のときのアキレウス(アキレス腱の語源となった英雄)の話が書かれているもの。ギリシャの神様って自己チューなのね。駆け引きがふんだんに見られます。ホメロスがいなければ今の演劇はなかった。
ぼんやり堂
★★★★★
ギリシア神話に慣れてきたらこれ。かの有名なホメロス著『イリアス』。学生の頃、倫理学で習いましたね。って言っても、すごい読みやすいです。トロイア戦争の話なんだけど、神様はわがままだし、英雄は自己中だし、人間臭いお話。
流砂の庭
★★★☆☆
トロイア戦争の物語。優勢にしたり、劣勢にしたり神様達も忙しい。長いです。
理想の本屋さん
★★★★☆
世界最古の叙事詩ホメロスのイリアスは、中世、近代を通じて現代も沢山の芸術家達に影響をおよぼしています。
物語はトロイア戦争の一部を切り取ったものですが、英雄達と神々との関係や枕詞にロマンチシズムを感じるのは私だけじゃないはず。全ての小説(もちろん日本の文芸も)の原点です。読書家を称するなら必ず読むべし。