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歴史(中) (岩波文庫 青 405-2)

価格: ¥987
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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なにより面白いんです 翻訳もとても読みやすい ★★★★★
まず、読み物としてとても面白い本です。松平さんの翻訳も少しも翻訳臭さがなく非常に読みやすいと思います。何より著者ヘロドトスの人間や民俗、博物に対する好奇心が伝わってきます。

題名は『歴史』ですが、ギリシア語の‘ιστορια(historia)というのはもっと広い意味で、原意は「質問して聞いたこと」、「見聞きしたこと」だそうです。実際、歴史というより、地理、博物誌、民俗誌という感じです。紀元前6世紀の著者は好奇心が旺盛で話がときどき脱線しますが、その話がまた面白いのです。

この本を読んで、人間は紀元前古6世紀の古代からそんなに変わっていないんだなあと思いました。優しく親切だったり、ずるく策略を巡らしたり、愚かだったり・・・。今とまったく同じです。

なお、欧米では聖書と並んで良く読まれている本だそうで、この本の記述が良く引用されます。

この本で、ギリシア古典の面白さに目覚め、調子にのってツキジデス(トゥーキュディデース)の『戦史 上、中、下』まで買ってしまいましたが、そちらは淡々とした記述で、教養として読む本だなあと思いました。
アケメネス帝国、怒涛の侵攻 ★★★★★
 ヘロドトス「歴史」の岩波文庫版中巻は、ダレイオス大王がスキュティア征服の壮途が、厳しい自然環境や敵の撹乱戦術により、蹉跌を来たすところから物語が始まります。この遠征の泥沼から辛くも抜け出したダレイオス大王のもと、イオニア諸都市反乱の知らせが追い討ちをかけます。地方拠点たるサルティスの街を焼かれたダレイオスは、イオニア人と共にアテネが帝国に刃を向けたとの報に接し、アテネへの報復を固く天に誓います。
 反乱を蹴散らし、イオニア再征服を果たした帝国軍は、エーゲ海諸島やヘレスポントス沿岸部を席捲したのち、いよいよアテネを目指してギリシア本土に侵入を開始します。「ギリシア人の自由」が未曾有の危機にさらされる中、風雲急を告げるマラトンの地で、帝国軍に雄々しく立ち向かったのは、ミルティアデスをはじめとするアテネ市民らの勇気と知恵だったのでした。
 本巻も、マイナーな地名・人名が目白押しです。訳注も丁寧に付けられていて良いのですが、ちょっとウルサイ感じは否めません。総じて、決して読みやすい本とは言えません。
 他方、帝国と諸ポリスとの一筋縄ではいかない微妙な関係がビビッドに描かれているほか、ペルシア来襲に至るまでの状況の急展開と行き詰るような雰囲気がにじみ出ており、やはり読むに値する素晴らしい書物だとの念を新たにしました。
ペルシアv.s.ギリシア ついに開戦す! ★★★★★
 同書、上巻の続き。ペルシア王・キュロス、カンビュセスの遺志を継いでエジプトを征服したダレイオス(1世)が、ついにギリシア本土へ向けて侵攻を開始します。

 巻4(メルポメネの巻)において、ダレイオス王はペルシアを悩ますスキタイ人(当時南ロシアの住んでいた民族)を討伐するために、今のイスタンブール(トラキア地方)からヨーロッパに上陸し、トラキア人とスキタイ人を征服してしまいます。

 巻5(テルプシコレの巻)において、トラキアに残るペルシア軍によって、ギリシア全土は不穏な状態となり、それまでペルシアに服属していたギリシア民族のひとつであるイオニア人が反乱を起こしますが、失敗してしまいます。

 巻6(エラトの巻)において、イオニアのミレトスで起こった僭主アリスタゴラスの反乱は後ろでアテナイ(アテネ)が糸を引いていたために両者の戦いは決定的となり、ついに両軍はマラトンで激突します(第二回ペルシア戦争)。

-これがかの有名な『マラトンの戦い』で、『マラソン』の語源はここからきていますが、勝利をアテナイに報告して生き絶えたという伝令の話はここには出てきません(スパルタに援軍の催促をしに行った伝令の話は出てくる)。面白いところです。