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歴史 下 (岩波文庫 青 405-3)

価格: ¥1,155
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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運命の海、サラミス ★★★★★
 イオニア反乱鎮圧の余勢を駆って一気にギリシア本土の制圧を目論んだダレイオスの企てはマラトンの地で夢と果てましたが、アケメネス朝の後継者クセルクセスは、帝国の広大な領土や民とともに、欧州制覇の野望をも亡父ダレイオスから引き継ぐこととなりました。ペルシアの旗の下、海陸両路を西に向かって平押しに押し進む諸民族の将兵たち。その総数たるや、ヘロドトスによれば何と170万の多きに達したとか! 遠征途上の幾筋もの河川は、彼ら将兵や馬匹の飲み尽すところとなり、ために流れも干上がる有り様。
 そんな未曾有の大軍を前に、要衝ティルモピレーで戦いを挑んだのはスパルタ王レオニダスその人でした。敗北の必至を悟りつつも、父祖伝来の掟に従い、敵に背中を見せることなく全滅したスパルタ軍の故事は、今なお読者の魂に迫るものがあります。
 そして、高揚と絶望、野望と覚悟が交錯する中、東西両勢力の海軍は「運命の海」サラミスへと導かれて行くのでした。

 イオニアに反乱の火の手が上がって以来、実に20年間に亘ったアジアと欧州との抗争は、本巻においてクライマックスに達し、ついに真実のときを迎えます。話の進みが決して速いとは言えないヘロドトスですが、本巻ばかりは手に汗握る思いで読みました。
 ヘロドトスの「歴史」は、脱線やら要らぬディテールやらで読者をさんざんに悩ませ、お世辞にも読みやすい本とは言えないかも知れません。しかしながら、いま全三巻を読み終え、古典の底力ともいうべき迫力に、やはり圧倒されてしまった小生です。
3巻中最も面白いのがこれ、サラミスの海戦! ★★★★★
 どういうわけか、ヘロドトスは、この書の主人公であるスーパースター、英雄テミストクレスが嫌いなのです。好意的に記述していない。主人公に入れ込んで書くからこそ血沸き肉踊るというもの。結果、どうも盛り上がりに欠ける記述になっています。醒めた記述といってもいい。そういう問題点はあるものの、「歴史」のなかではこの下巻が最大の見せ場であることは間違いないところです。現在我々が知っているサラミスの海戦の模様は、このヘロドトスの記述に拠るところ大です。その功績は永久に不滅でしょう。
因縁の対決。ペルシアv.s.ギリシア ★★★★★
 中巻において、ダレイオス王のギリシア本土侵攻は失敗してしまい、まもなくダレイオス王も死んでしまいますが、ギリシアへの再度侵攻は休むことなく受け継がれ、今度は陸海双方のペルシア軍が総力をあげて攻め込んできます(第三回ペルシア戦争)。

 巻7(ポリュムニアの巻)において、ペルシアの大軍を前にしてイオニアのギリシア人はすべてペルシア側に服属してしまい、ギリシア本土のギリシア人の中からも服属者が出る始末となってしまいますが、アテナイとスパルタはこれまでの因縁でペルシアと戦わざるを得ず、しかしテルモピュライで敵を迎え撃ったスパルタ軍は無残にも全滅の憂き目に遭ってしまいます。

 巻8(ウラニアの巻)において、アテナイはペルシアとの陸戦は無理であるとしてサラミス島に避難、結果アテナイ市はペルシア軍に蹂躙されてしまいますが、海戦に勝利して形勢を逆転させてしまいます。

 巻9(カリオペの巻)において、このサラミス海戦に勝利した勢いに乗ったアテナイ・スパルタ連合軍は、続く陸戦にも勝利し、このペルシア戦争における勝利を決定的なものとします。

───以上が、ペルシア戦争周辺をつづったヘロドトス『歴史』のあらすじです。少しでもこの話の面白さが分かっていただけたでしょうか?実際、話に出てくる人物はどれも実在する人物で、サラミス海戦を勝利に導いた知将テミストクレスや敵将マルドニオス、ハリカルナッソスの女傑アルテミシアの活躍などは大変魅力あるものであり、それだけで苦労して読む価値があるといえるものです。  よくある話の脱線は著者のヘロドトスも認めるところなのですが、それが"一粒で二度おいしい"ヘロドトスの『歴史』の良いところでもあるので、話の長さにめげずにぜひ読んでみてください。