ギリシャ的な、あまりにもギリシャ的な、と言いたくなる本。
確かに、古代の武具にどのような物が使用されていたのか、また、陣形はどうだったのか、という、興味深い資料ではある。
しかし、それだけではない。
人物の描き方が生きいきとしていて、歴史小説としても楽しめるだろう。
ただの回顧録、という文体ではなく、ホメロスからの長いギリシャ文学の形式は引き継がれている。
訳注も充実しているので、古代ギリシャに興味がある人なら楽しめるだろう。
しかし、クセノポンよ、自分のことをここまで格好良く描けるとは、さすがにギリシャ人だ。