ベスト盤とは、シングル曲が豊富に含まれているということもあり、 新規のファンも曲の感触やアーティスト像を見極め易い内容であるのが一般的であろう。
しかし少なくともこのCDにおいては、その例は当て嵌らない。
このCDだけを聴いて、POLYSICSというバンドを誤認してもらってはもったいないと思う。

確かに曲の完成度は高いが、POLYSICSの疾走感・肉薄した様子というものが感じとり辛い。
ライブDVDを見てもらえるなら一番、生で聴けるなら最高なのだが、まずは動画サイトなどでも構わない。
その場合は昨年の「ROCK IN JAPAN FES.2009」などが好例になると思う。
あの少ない演奏時間の中で、これだけオーディエンスを熱狂させられるバンドはいない、と言い切れる。 また単独のライブでは尚更だ。
圧巻のパフォーマンスを披露しながら、本当に1曲目から全力疾走で駆け抜けるPOLYSICSの姿を、まずは見て、感じて欲しい。

…ここまで書いてきたが、曲単体では難があるという訳ではなく、ライブでは必ずCD以上のものを見せつけてくれる、という主旨であることを申し添えておく。
本来なら5つ星をつけたいところだが、その辺りに期待をしながら、4つ星をつけさせてもらった。

ヤノさんの加入以降の曲を収録ということで、最近のバンドイメージをあらわした一枚だと思います。
改めて聞いて僕は「Digital Coffee」がとても気に入っています。曲の中で自在に跳ねるような歌い方と、デジタルビートで構築されたスカのリズムは、これまでにないPOLYSICSを体感できますね。

カヨさんのボーカル曲「BABY BIAS」から始まり、珠玉の歌モノ「You-You-You」で終わる曲順も、なかなかいいなって思います。

3月の武道館公演でKAYOが脱退し、活動も休止してしまうのですが、シングルに関しては秀逸だったなと思いました。シングルのできの割にアルバムがあんまりいいようには思えなかったので、皮肉にもこういう形で最高のPOLYSICSを見た気がしました。