河のほとりで (文春文庫)
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惜しまれつつ亡くなった著者の最後のエッセイ集。
透徹した眼力と豊かな想像力で敗者の歴史を丁寧に掬い取った珠玉の名篇。
臨在の「済」の字には「河の渡し場」という意味がある。
中国、唐末の僧・義玄は、現在の河北省の河に臨む場所に臨在院を建てて禅を広めたことから臨在禅師とよばれたという。臨在は「河のほとり」とも読めるのだ。著者の地元の九州、西日本新聞に連載された「河のほとりで」を中心に、西郷隆盛、武田勝頼、真田幸村(信繁)、源実朝ら悲運に倒れた歴史上の人々や、司馬遼太郎、藤沢周平から松本清張まで先達の作家たちを縦横に論じ、山本兼一、安部龍太郎、青山文平、佐藤賢一、澤田瞳子ら大時代作家の文庫解説でエールを送る。
著者の人柄が偲ばれる鋭くも優しい文章たち。