おもしろく、わかりやすい。
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後継社長の人生を、前社長時代から自分の次の社長へ引き継ぐまでの8つの壁について、1つの壁ごとに1章で区切りがよい。物語と解説がセットになっており、臨場感あるエピソードとその問題点についての解説が続いているので、問題をその場でクリアにできる構成が気に入りました。物語も面白く、一気に読めて、理解できます。
日本は中堅・中小企業が元気を出さないと終わってしまう
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『日本は中堅・中小企業が元気を出さないと終わってしまう。
そういった意味で、西山さんのような後継者が成長してゆくことが、
日本の将来を決めると思っています。』
”社長の最良の相談相手”を立命とし長年中堅中小企業層の経営ドクターとして
貢献されてきたアタックスさんの長年の軸足を現す文中の一文が目を惹いた。
IT統制や業務統制は一つのブームだった大手企業の内部統制とは一線を画し、
再び足音を忍ばせつつある不景気風への対抗策として本来ならこれから
中堅中小企業層のマーケットでの積極展開を図らねばと感じるに、
既にIT大手なども大企業内部統制市場が成熟期に達している事を鑑み、
2006年頃より温度が格段に醒めているという大手市場しか見ていない様相を見るに、
アタックスさんの中堅中小企業層に対するぶれない軸足には、
見習うべきまさに”知行合一”を感じる。
さて話は変わり、
<五つの資格>と<六つの資格>というものが巻末に近いところに書かれていた。
”アントレプレナー”という言葉が最近久方ぶりにも耳に飛び込んできた。
バブルの頃だったか、『上場後は優秀な社員にはアントレプレナーに
なっていただく制度があります。』といった触れ込みを採用の目玉とした企業が
目立った時期もあったが、つい最近新卒採用でそのような触れ込みを目玉に
秀逸な人財の確保を図っているベンチャーが有ると耳にした。
少なくともその”アントレプレナー構想を採用の目玉”にするベンチャーの経営陣にも
”アントレプレナー構想を目的に入社”する新卒の方も、
本書は読まずとも<五つの資格>と<六つの資格>がおおよそイメージできるようでねくば、
それは単なる”経営リスク”となるのではないかと感じてやむない。
もし<五つの資格>と<六つの資格>のイメージが浮かばぬようであるなら、
やはり手に取るべき一冊ではないだろうか。
少なくとも書籍離れのお若い方にも苦にならない”実話ベースとしたフィクション仕立て”だから。
そしてやはり読後に”企業は人なり”と地に足付いた理に戻れることでしょう。
これで私も後継者?
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後継社長……うらやましいような、うらやましくないような。ある程度定められた将来がある人たちにとって、その仕事が天命、天職だと思えるかどうか、大きな問題なのだろう。そう思えるようになるまでの悩み、決断、その後の社長就任、会社の大きな変化、そして自分の後継者をどう選ぶのか。これらの内容がわかりやすく詰まっている。
後継者のための書籍は「とにかく勉強しろ」とか「先輩社員に負けないように」とかの根性、精神系の教えが多いように思う。しかし、この本にはそんなことはほとんど書いてなかった。どちらかというと、主人公の人生が疑似体験できるストーリーになっていた。誰にでも読みやすいし、後継者になる、ならないを迷っている若い人だけでなく、これから後継者をどう選んだらよいのか、考えはじめた経営者も参考になるかもしれない。
各章ごとに内容がはっきり分かれているので、経営の入門書としても使えると思う。実際に私のように後継者でなくても、十分に楽しめる内容だった。
何となく、後継者になってもいいかな? なんて思えるようになった1冊。