フィクションであるとしても
★★★★★
本DVDのあるいは原作の内容は事実と異なるという意見が認められるが、戦争そのものは事実であり、特攻があったことは事実である。軍隊が国民に犠牲を強いたこと、未だに本当の戦犯が誰であったかという事実も明らかにされていない事も重大な事実である。本映像の目的が今後この様な悲しみを繰り返す事が無いことを願うという意図であるなら、たとえ多少の具体的事実との齟齬があるとしても、愚かな戦争への反省という目的は十分に果たしている映画であると思う次第である。
映画としてならまあまあ
★★★☆☆
お話としてはとてもキレイにまとまっています。
むしろキレイ過ぎる、と思って調べてみたら
このお話は実話をもとにした「完全なる創作」でした。
具体的には
・ピアノを演奏した人物は特攻隊ではない(作品の元となったピアノは実在する)
・二人で演奏に来たという事実もない
などなど、あとは自分で調べてみてください。
さて、この映画は特攻で散華された方々のことを思い返すいい機会になるでしょう。
しかし事実でないことははっきりと事実でないと記すべきです。
そういったことを曖昧にすることは特攻隊という悲劇の真実を捻じ曲げることになるからです。
隊員は薬を打たれていた、出撃には敵前逃亡をさせないための督戦隊が随伴した
ムスリムのテロリスト同様の狂人である、戦争に勝てると本気で思っていた哀れな存在など
巷には特攻隊に対する様々な嘘と悪意が満ちています。
我々は歴史の真実をそうでないものとを見極めなければならないのです。
そしてこの映画を観て感動するだけでなく特攻隊員の本当の声に耳を傾けるべきでしょう。
幸いなことに、現代に生きる我々に眼前には「英霊の言乃葉」をはじめ多くの書物が出回っています。
我々は襟を正してあの戦争と、あの時代を生き死んでいった先人たちに向き合わなければなりません。
※特攻隊員の生の声といっても『きけわだつみのこえ』には左翼による思想統制や
編集という名の悪しき検閲が行われているので絶対に購入してはいけません
あの夏、戦争、ピアノ
★★★★★
またしても神山征二郎・監督作品に出会ってしまいました。
私は、映画を見るとき、誰が出ているとか、誰が監督であるかを
考えずに、見たいと思った映画やDVDを見るのですが、最近は
神山征二郎・監督の映画によく当たります。
昔見た「遠き落日」も監督作品だったのですね、良い映画でした。
「ハチ公物語」も、最近では「北辰斜めにさすところ」も…。
さて、この映画では、特攻隊員が、今生の別れに、せめてピアノを
弾いてから出撃したいと、佐賀県の鳥栖(とす)にある国民学校
を訪れます。訪れた隊員は二人。
一人は東京・上野の音楽学校(現・東京藝大)で音楽を学び、
音楽家になることを夢としていた青年。もう一人は、
師範学校で学び、音楽の先生になることを夢に見ていた青年。
学業も放棄させられた、繰上げ卒業の学徒動員兵です。
ベートーヴェンのピアノソナタ「月光」を弾き、それを拝聴していた
生徒が、特攻隊出撃の手向けに軍歌「海ゆかば」を贈ります。
実話を基にしたお話らしいです。
石原慎太郎の「俺は、君のためにこそ死ににいく」と並んで、
私の中では特攻映画の双璧をなす映画となりました。
鹿児島には知覧から飛び立った特攻隊員およそ1200名の御霊に
あわせて、同じ数の石灯籠が立っているそうです。
「篤姫」でも話題をさらった薩摩・鹿児島。
是非とも一度、訪れてみたいと感じさせます。
零戦の特撮はイマイチでしたが、ストーリーは美しい映画です。
昭和20年の6月に舞い戻ってみませんか…!?
クニの礎
★★★★★
この作品きっかけで、月光という曲が好きになりました。
映画の撮影場所も父の地元周辺で行われたので、親近感もあります。
当時の兵隊さんの苦悩が苦しいくらい伝わります。
これから死にに行くというのに、あの笑顔。
印象的な台詞は、子供が「特攻隊になります!」と言うと
兵隊さんが「君達が行かなくてもいい様に私達が行くんだよ」と。
なんという精神状態なんでしょう。クニの為…。
涙が止まりませんでした。
彼等の為にも頑張って生きないといけない。
病気でくるしむ自分に言い聞かせました。
右も左も関係無く観て欲しい映画です。
多くの人達に見てほしい
★★★★★
長くDVD化されることなく発売まで待ちました。
太平洋戦争末期に明日には特攻で死ぬ若者2人が、
死ぬ前に一度思い切りピアノが弾きたくて佐賀県鳥栖の国民学校にあるという
ドイツ製フッペルのピアノを弾きに何キロもの道のりを走ってくる。
そこで弾かれるベートーベンのピアノソナタ「月光」。
その2人の若者は満足しながら特攻に散っていく。
映画では、特攻隊のその後についても描かれており、
我々の知らなかった出来事を知ることになります。
多くの尊い人の命が失われた戦争。ピアノを通して語り告げられてきます。
この話は実話なのです。そのピアノは今も鳥栖市に保存されています。
JR鳥栖駅のすぐ近く「サンメッセ鳥栖」に展示してあり、誰もが見ることが出来ます。
そのピアノは地元の父兄が子供達に良い音色を聴かせてあげたいとの思いから
寄付を募ってドイツから購入されたもの。
当時でもかなり高額で有ったと思いますが、そんな大人達の思いもこもった子供達への贈り物です。
そのフッペルも当時のナチスに会社を解体され戦争でほとんどが焼失し完全な形で現存するピアノは僅かとのことです。
鳥栖市で保存される時には戦火の傷跡も見事に修復されたそうです。
私もいつか現存するピアノを見に行きたいと思っています。
そのピアノを間近で見た時に、この映画の光景が目に浮かぶことでしょう。
子供達にも見てほしい作品です。