この本を読むか読まないかで、自分の中のボイストレーニングの価値は大きく変わるかと思います。(もちろん自分次第ですが)

他のボイストレーニング系の本(この本より実践的なことの書かれたもの)を買うのは一先ず後回しにしてでも、この一冊を手にしたほうがいいかもしれません。

年齢を重ねるに従って、自分の声の音域が狭くなるとともに、持久力も落ちてきたので、
適当なトレーニング本はないかと書店に行って見付けました。
タイトルは、軽そうなハウツー本っぽいですが、プロローグに、
”ただ、ただ、あなたの表現へのこだわりを徹底して深め、声に込めるのに努めなさい”
”あなたは、あなたの答えを出さなくてはいけません”、というような記述があり、変わった本と思い買いました。
解剖学的見地からのよい声の出し方や、歌唱法についての説明は、
タイトル通りＱ＆Ａ方式なので、文章が簡潔でとてもわかりやすい。

でも、一番気に入ったことは、作者は「歌うこと」と「どう生きるか」ということを、同列に考えていることでした。
そこには、説教じみたものは微塵もなく、音楽への深い愛情を感じます。
自分の人生にとって、音楽が占める割合が高いと思う人は、買って読んでみてください。
最後まで読むと、また最初から読みたくなります。