とてもためになりました。
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本の状態はとてもよかったです。豚と付き合う時に大変参考になります。
「豚のことがわからないものを大統領にしてはいけない。」
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「猫は人を見下し、犬は人を尊敬する。しかし豚は自分と同等として人を見つめる。」
ウィンストン・チャーチル
「豚のことがわからないものを大統領にしてはいけない。」
ハリー・S・トルーマン
野生の豚はめちゃくちゃかしこい。
過酷な状況でも生きて行けるようにその都度適応進化を繰り返してきた。
同書では「豚を我々人間と同じく脳が最大の武器」と定義している。
実際に豚はどの草食動物よりも脳が大きい。
草を食うだけの草食動物と違って雑食動物は簡単ではない。
食物を得るための技術がいろいろと必要だからだ。
多肉多汁組織の棘を持つ植物、いわゆるサボテンを棘が少なく有毒性の低レベルなものを選んで、みずみずしい内側の果肉だけを食べることもできる。
熱帯雨林に生息するものだと、ココナッツの割り方まで知っている。
また、かしこいだけでなく身体能力が抜群で獰猛な種類もいる。
1912年ノースカロライナ州で狩猟隊が組織されレイザーバックを狩ろうとしたこともあったが、おびただしい数の猟犬が殺され、猟師がひとり殺されて終わった。
レイザーバックを評して「馬のように足が早く、ジャックウサギのように素早く、追い詰められるとトラのように獰猛。」と言われる所以。
豚の天敵といえば食物連鎖のトップに居るようなネコ科の肉食獣だ。
一番印象に残ったのが、セオドア・ルーズベルトが1914年にブラジルへ猟に行った際に目撃したクチジロペッカリーの話。
「悲惨なジャガーはがっしり噛み合う犬歯の持ち主12頭の分の威力を身を持って感じ、細切れにされ食べられてしまった。」
つまり、狩りを使用とした対象に逆に狩られてしまったのだ。
人間の醜悪さや下等さを言い表す際に豚を引用される。
コレほどまでに賢い動物はいないだろう。
豚は偶蹄目である。
牛や羊や山羊、鹿と非常に近い。
しかし、序列をつければ間違いなく豚がナンバーワンである。
ファーブルの昆虫記ならぬ、豚の観察研究記録。そして訳者は、あの福岡伸一さん。
★★★★☆
生命の謎に迫り、ポスト科学とか、ニューエイジともてはやされたのと同時に、
厳しい批判にもさらされたライアル・ワトソン氏が、死を前にして、豚について
研究していたとは、驚いた。
そしてこの本は、最初から最後まで、ほんとうにまじめに、豚について
その歴史や、品種の改良、人間とのかかわりなどを研究したものである。
訳者は、生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)を書いた福岡伸一さん。
豚について詳しくなって、一体何か面白い?と思うかもしれないが、
これが、読んでいてとても楽しい本に仕上がっている。
訳も慎重かつ軽やかで読みやすい。
訳者も言っているが、ファーブル昆虫記のような、楽しさがある本です。