【セブン-イレブンで24時間受取りOK・送料0円!】出演者:イングヴァー・ヴィクセル レーベル:TDKコア 発売日: 2003年12月26日 関連キーワード:モーツァルトカゲキフィガロノケッコン、 イングヴァー・ヴィクセル
歴史的な名演
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1966年ザルツブルク音楽祭8月11日に祝祭小劇場で上演されたコンサートのライヴ映像です。ORF(オーストリア国営放送)が収録した映像です。今でもそうですが、ORFのザルツブルク音楽祭の中継では、必ず、ホーエンザルツブルク城が映し出されます。音楽祭のあのテーマ音楽が、ブラスによって奏でられますが、当時はかなり長く演奏されていたのですね。最近のはかなり短縮されているのがわかります。当時の高級車を利用したたくさんのお客さんが会場内に入る様子も収録されており、時代の流れを感じさせます。白黒でモノラル音声ですが、質は完璧です。フィガロ役のワルター・ベリーがとても若々しいですね。彼は1963年のベルリンドイツオペラの来日公演でもべームの指揮でフィガロを歌っており、そのときのライヴもかつてCDで発売されました。どちらかというとザルツブルク版が良いですね。ケルビーノ役のエディタ・グルベローヴァも声も良いが演技がとてもうまいですね。見てるものにもわかりやすいです。これも演出家のギュンター・レンネルの才能の良さが表れているようです。そしてウィーン・フィルの演奏も今さら言うまでもなく、美しいですね。終演後のカーテンコールも見ることができますが、何度も出演者やべームがステージに登場し、聴衆の歓声と拍手が全くノーカットで編集されているのも良いですね。べームとレンネルはザルツブルク音楽祭のオペラ上演では常に共に仕事をこなした仲です。これまでにCDでは「コシ」「ドン・ジョヴァンニ」といったライヴ版が発売されておりますが、ORFに映像が残っていれば、ぜひDVDで発売してほしいですね。
まだまだ、隠れた名盤の出現って、あるもんなんですねえ
★★★★☆
このディスクの映像は1966年のザルツブルク音楽祭での実況録画で、今回が初映像化だそうです。残念ながら、音声はモノラル、画像は白黒ですが、音声も画像も充分に鮮明なため、それほど観て(聴いて)いて苦にはなりません。ベーム指揮ウィーンフィルの『フィガロ』といえば、75年のポネル演出による映画版が有名ですが、このディスクで楽しめる『フィガロ』も、それに勝るとも劣らない名演です。まず一番の楽しみは、有数のモーツァルト唄いと評価されながら、必ずしも録音や録画には恵まれていたとはいえなかったレリ・グリスト演じるスザンナの美しい声と可憐な姿を堪能できることと、若き日のエディト・マティスの演じるケルビーノが素晴らしい歌唱を聞かせてくれる点でしょう。むろん、その他の往年の名歌手たちも、粒揃いの美声を競ってくれています。そして何といっても、大胆かつ繊細なベームの指揮と、それに充分に応えるウィーンフィルの活き活きした音色!少なくともモーツァルトファン、フィガロファン、ウィーンフィルファン、ベームファン等々の人々にとっては、必携の盤がまた一つ増えたと言って良いでしょう。
好きな人のそばにいたい!
★★★★★
イギリスの哲学者D.パーフィットによれば、「好きな人のそばにいたいという欲望は、<フィガロ>ならばたとえどんな田舎の演奏でも聴きたくなるようなものだ」という。もちろん、このべーム版「フィガロ」('66、ザルツブルグ音楽祭ライブ)は田舎芝居ではない。モノクロ映像、モノラル録音にも拘らず、確固たる様式美を感じさせる歴史的名演だ。最近のオペラは、精神分析理論を振り回したり、不条理劇風に改作したり、演出家の横暴が目に余るが、レンネルトとべームのコンビは、何よりも音楽を基軸に据える。アリアや重唱をたっぷりと歌わせ、万雷の拍手に応えて二度三度と歌手は舞台に戻ってくる。それでいて音楽と演劇的要素とが絶妙の調和を失わない。第二幕、怒った伯爵の前に衣裳部屋から現れるスザンナの、美しくさっそうした歌い方。第四幕、騙し合いの末のフィガロとスザンナの和解が、こんなにしみじみと歌われるとは。E.マティスのケルビーノは、少年のような少女のような、いわく言いがたいユーモラスな感じがある。まさにこれは、好きな人のそばにいるような「フィガロ」である。