時流に抗した議会人
★★★★☆
戦前、日本が自らを対米戦争への隘路に引きずり込んでいく中で、それへの抑制的役割を果たすべきだったのが帝国議会、そしてそれを構成する政党であった事は言を待たない。
しかしながら、反軍演説を行なった斎藤隆夫を除名するという、議会が自らの言論を封殺した挙句、新体制運動の高まりの中で戦時体制を協賛する目的で、全政党解散の上に結成されたのが大政翼賛会である。
本書は、その大政翼賛会を議会政治の自殺行為と捉え、抵抗した政治家たちを、人物毎にカテゴライズし、一種の人物史の様相を呈している。
いかんせん40人もの政治家を1冊の本にまとめている事から、それぞれの政治家の実像を網羅したものとは言えない。
ただ彼らは、有名、無名問わず、議会政治擁護のスタンスから、弧塁を守った人物たちである。
戦争に国全体がなびいていく中で、敢えて時流に抗した政治家の存在は記憶されるべきであろうし、現在との良い好対照である。