大江戸書店
★★★★★
日本で一番頭のいい大学はどこでしょうか?
やはり東京大学でしょう(世界では二十数位らしいが)。
そこで近現代史を講義する。なんとも緊張をするシチュエーションです。それなりの知見をもって臨まなければなりますまい。
その東大の近現代史を担当する先生が中高校生を受講生として教鞭をとった講義録です。
さて、タイトルですが、何とも左派的ではないでしょうか。
内容はそんなことありません。
本当に教科書に準拠した近現代史(日清戦争から太平洋戦争まで)を深く掘り下げたものです。
なぜ私たちの先祖は、戦争への道を歩まなくてはならなかったのでしょうか?それを詳細に検証したものです。
自身の歴史観を形成する上で、有意義な一書となるでしょう。
陸軍の暴走たるや…。
本書は中高校生への講座、という形をとっていますが、むしろ大学生~大人が読むべき本でしょう。
ちなみに本書を読みこなすには、大学受験レベルの日本史知識が必要です。
それにしても、この講座を受けている中高生、優秀です。
日本指導者の「戦争観」ならばOKだが
★★☆☆☆
この書籍の表題が、「なぜ日本の指導者や知識層が戦争に突き進んだのか」というのであれば、★★★★の評価をつけたと思う。この書籍のなかには、当時の政治指導者・軍部指導者・知識層の戦争観や戦争の見通しが綴られている。もちろん歴史学においては、いわゆる「戦争責任」のある、またはそれに相当する人物の考えであっても、頭ごなしに否定するのではなく、それについて研究する必要はあると思う。しかし”「戦争」を選んだ”という言葉を使うと、何か当時の日本国民全員に「選択の自由」があったかのような錯覚を起こしてしまう。どうしても”「戦争」を選んだ”という表記を使用したければ、当時の一般国民がどの程度政治の決定プロセスに関与できたかを詳らかにする必要があると思うが、それに関する記述は残念ながら見られなかった。
英国好きのなんでも屋
★★★★☆
東京大学文学部教授にして、1930年代の軍事と外交を特に研究分野とされている加藤陽子氏が栄光学園歴史研究部の中高生と一緒に学び考える、『日本はなぜ第二次世界大戦への道を歩んだか』。
とにかく、とても面白く興味深い!
『戦争とはそもそも、勝利した国が敗者の国の一番大切にしているもの‐社会秩序(憲法)を作り変える』『E・H・カーによる、国際連盟の機能不順と第二次世界大戦への道筋の原因』とか序盤から歴史を学ぶ人を釘付けにする勢いがあります。
『米国が第二次世界大戦の敗者の国、つまり日本の憲法を作り変えた時、そもそも戦前の憲法の原理は何だったのか?』『E・H・カーが唱えた、英国がドイツやイタリアや日本の台頭を防ぐ手段は何だったのか?』など、問いかけと生徒さんの回答を織り交ぜながら進むのも、論理が受け容れやすくまた面白いです。
まだ読み途中ですが、読みがいがあり電車の中でも気軽に読める歴史本。戦時の日本の、そして世界の状況を学びたい方にオススメします!
_春の風_
★★★★★
「戦争は国家と国家の関係において、主権や社会契約に対する攻撃、つまり、敵対する国家の憲法に対する攻撃というかたちをとる」とルソーが言った。日本も太平洋戦争の後そのようになったこと。国際連盟脱退の松岡洋右の本当の気持ち。中国に胡適という凄い人物がいて「アメリカとイギリスをこの問題に巻き込むには、中国が日本との戦争をまずは正面から引き受けて、二、三年間、負け続けることだ」ということなどすごい話があります。本当に頭のいい人が一所懸命に勉強して一所懸命考えて書かれたものだと思いました。素晴らしい本です。
○ト書店
★★★☆☆
“つんどく”場合じゃないのだけれど…。
飛鳥の鳥1号店
★★★★★
日本はどのようにして戦争に突き進んでいったのか、それを知りたくて半藤一利著”昭和史”を読んだ。何となく感じたのが明治維新を命がけで成し遂げた薩長。その子や孫達が修羅場を潜り抜けることもなく、親たちの威光で出世して、思い上がりだけは人一倍強く戦争に突入していったような気がした。もちろんそんな単純ではなかろう。”それでも、日本人は「戦争」を選んだ”を読んで情報を仕入れることが大切だ。他に”歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学”この本も良いでしょうか。
飛鳥の鳥1号店では、坂口安吾、隆慶一郎、金子みすゞ、岩男潔、坂村真民、などの本、詩を紹介しています。