一歩踏み込んで読むと面白い
★★★★★
1年間に何百万人が…といわれるとピンとこない。
しかし、1秒間に何人が…といわれることで、ぐっと身近になる。
(一部、1秒にすることでかえって実感しにくくなっているものもあるが…)
テーマは環境や経済、科学など多岐にわたる。
書かれていることもとても絞られていてシンプルなので、
いきなり重厚な本はちょっと…という人にもおススメ。
ただ本当にシンプルで、記載量は少ない。
読んでみて「だから?」と思ってしまう部分もある。
読んだだけだと、ただの雑学に終わってしまう危険性もある。
この本で得たものをどれだけ膨らませられるかが重要と思われる。
この本に書かれていることから一歩踏み込んでみてはじめて、
この本の本当の価値がわかるのだと思う。
でも、せっかく考えるきっかけ作りの本なのだから、
もう一歩踏み込んだ部分の問題提起をしてくれてもよかったかなと思った。
まあ、そこから先の一歩は読者自身に委ねる方が効果的なのかも知れない。
あくまでも、考える、関心を持つためのとっかかりの本。
さて、そんな「1秒の世界」の第二弾だが、
第一作と構成はほとんど同じである。6つの分類もおんなじである。
巻末の「山本良一の公案60則」がなくなっていたり、
「みんなで考えた1秒の世界」の企画応募用紙が今回はなかったりと、
細かいところで第一作と違いがある程度。
前回と同様、面白いし、勉強になる。
なにより好奇心が刺激される。
興味が広がっていろいろ調べたくなってくる。
新聞を読んでいても、身近な視点に置いてみようとか思ってくる。
(なにも全部1秒にしている訳ではないですが。。。)
ただ1つ、数字が持つ意味に関しては深く言及されてないので
そこは注意点かも知れない。
例えば、二酸化炭素が1秒で何トン増え、年間では何百億トンも排出が…という項目がある。
単純に「こんなに増えちゃって大変だ」と思ってしまいそうだ。
何百億トンといっても、地球の大気総量の十万分の一以下である
逆に、1秒で何トン、年間で何百億トンの二酸化炭素が吸収されるかも書かれていない。
あくまで、「1秒の窓」で世界を見る本だからだ。
それがすごい量なのか、そうでもない量なのかは書かれているとは限らない。
そういった点は読者自身が判断しないといけない。
それも含めて、この本はやはり勉強になるし、単純な雑学としても面白い。
これ1冊でけっこう長く楽しめそう。
学校の教材にしたら半期はテーマに困らなさそうだ。
例えば、1秒でどれだけの食糧が無駄になっているのか、という項目がある。
「全ての学校が給食の残飯をなくしたら、1秒あたりどれだけ改善されるか」
など考えてみれば、意識も変わってきそうだ。
この本から何を見つけられるだろうか。
肩ひじ張らずにリラックスして読んでみて欲しい。
面白い世界、笑えない世界、いろいろ見えてきそう。