栄光なき天才たち7下 佐藤次郎――死を以て国に謝罪した日本人最強のテニスプレイヤー②
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昭和8年、世界各地を転戦したのち2年ぶりに母国に帰国した佐藤を待っていたのは、国からの更なる期待だった。寄付金を募るため、彼を利用とする庭球協会。疲弊している佐藤に追い打ちをかけるかのように、国や協会からのプレッシャーは日に日に強まっていく。
同年、デビス杯では予選で敗北したものの、全仏選手権やウィンブルドン選手権で躍進をみせた佐藤は、テニスプレイヤーとして絶頂期を迎えた。テニス界の名花と呼ばれていた岡田早苗さんとの婚約も決まったが、国からの重圧が負担となり、関西へ逃げようと試みる。
しかしどうしても佐藤の存在が必要な庭球連盟は、無理矢理にでも彼を翌年のデビス杯に出場させようとする。
そのプレッシャーから、肉体的・精神的な疲労が積もっていく佐藤。
重荷に耐えられなくなった彼は遂に……
後世に残る偉業を成し遂げながらも、不遇の人生を送った“栄光なき”天才たち。彼らの人生は、如何なるものだったのだろうか――森田信吾による異色の偉人伝!