日本語は色っぽい
★★★★☆
日本文学をほとんど読まない私が久々に手にしたのが「梅安シリーズ」。なぜかというと、留学中に日本語に飢えていた時に、友人が忘れていった一冊だったのです。日本語の行間の美しさ、言葉の含みの多さ、言葉の響きと見えの艶っぽさにぞくぞくしました。これはどの日本語にもあてはまるわけではなく、「池波日本語」だからそうなのだと気づくころにはすべてのシリーズを読破してました。梅安のキャラクター、おいしそうな食事の描写、登場人物とのとつとつとした会話。文章を読むとビジュアルが自然に浮かぶのは日本語だからこそ。池波文学にはまった一冊。遺作が完成していないのが本当に残念。