2003年版「製造基盤白書」によると、製造業の創出する付加価値額がGDPに占める比率は2001年実績で20.8%、ドイツに次ぐ水準であった。また、製造業の事業展開に付随して付加価値を創出する、流通業、運輸業、電力・ガス供給業の波及効果を加えると、GDPのシェアは32.4%にも達する。さらに、輸出に占める工業製品の比率は実に93.8%に達しており、資源の乏しい日本は今も昔も「技術立国」日本なのである。
「独自の質の追求」とは、他社に無い、自社独自の技術にもとづく独自の製品やサービスを開発し新しい市場を創出することであり、人々の暮らしを豊かに、より快適にし、新しい生活文化を導くこと、である。そして、「独自の質の追求」を支える要素として、職人や匠に代表される日本のモノづくりの心、三つの知(明の知:明示できる言語的な知、暗の知;個人の非言語的な知、黙の知:集団の非言語的な知)、を提示している。
これを実践するためには、輸入品ではない日本独自のMOT(技術経営)が大事である。常盤氏によると、企業における技術とは「ヒト・モノ・カネ・情報という経営資源をより価値の高いモノやサービスに換えていく一連のプロセス」である。そして、MOTとは、技術を製品にし市場に提供(TPMのサイクル)することに他ならず、このTPMサイクルをしっかりマネージすることがMOTの役割である。