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原始キリスト教史の一断面―福音書文学の成立

価格: ¥4,200
カテゴリ: 単行本
ブランド: 勁草書房
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33歳でこれを書いたとは。。。 ★★★★★
より論争的な後の著作よりむしろ老成した印象を受ける文章で、いわば学者らしい著作。
しかし、福音書記者マルコの動機の掘り下げを通して、イエスを取り巻いた民衆の、さらにはイエスの息遣いがかすかに聞こえてくるところは、やはり「論文」のイメージから少しはみだしているかもしれない。

いまだに版を重ねる理由は、読めば分かる。「初期田川建三」という史料価値だけの書ではない。
新たな地平を拓いた記念碑的著作 ★★★★★
本書のベースとなったのは著者のストラスブール大での学位論文(1965)であり、査読者(E.トロクメ?)から護教的ではないとして、取り下げをうながされたという逸話さえあります。(取り下げをうながした人物が最終的には最高点をつけました)。このように当時としては衝撃的な論文でした。これを邦語として大幅に書き改め、当時の様式史・編集史的研究の成果と限界を踏まえながら、福音書という文学類型を創出するに至った最初の福音書記者マルコの思想と著作編集意図を、マルコが拠って立つガリラヤの歴史的精神的風土=歴史的場への斬り込みを突破口にして、抽出することに見事に成功しています。ただし、本書が巻き起こした賛否両論はもとより、その後の正文批判の伸展と正文批判の護教的立場による揺り戻しもあります。刊行から40年近く経った現在、著者としても修正したい部分が多々あるとは思われますが、まずは本書が当時少壮の邦人によって達成された驚くべき業績であったことを了解したうえで、読者は対峙すべきでしょう。学術書とは思えないほど平明でありながら精緻であり、著者の特色が既に遺憾なく発揮されています。補論として著者の師であったE.トロクメの仮説「マルコ福音書は13章で完結しており、受難、復活記事は別の編集者によって附加されたもの」がまとめて検討されています。(結論として、当時の著者はトロクメ仮説に否定的。また顕現記事を含んでいなかったことは、今日確定されています)。護教に大きく傾斜してはいますが、トロクメの『使徒行伝と歴史』、『聖パウロ』を併せて読むと、初期カトリシズム形成までの原始キリスト教内部の複雑さと緊張関係が読み取れて面白いと思います。なお、本書は1969年度日本宗教学会賞受賞作です。
若き日のカリスマ ★★★★★
田川建三、若き日の著作
専門書にも関わらず、一気に読まされてしまう
作者マルコの著述意図を探る、といった内容で、
福音書を読むときに誰もが何か違和感を感じていたであろう、
イエスの弟子たちのボンクラ的描写の理由が解明される
・・・な〜んて素人が口をはさむ事ではないですな

この著作の後、著者の苦難の日々が始まる訳ですが、
それを思うと、少しシンミリとした気持ちになります
この本がまるで、青春への決別の書であるかの様に見えるからかもしれません
まぁこんな勝手な感傷的思い込みはさておき・・・

明晰で説得力のある文章には、毎度やっつけられる
既にこの頃から立派な「田川建三」だったようです
註も読ませます