誰のために、何のために葬儀をするのか
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「葬式は生きている者のためにするもの」と、多くの人は薄々気づいているはずだ。
だがそれは世間体のためではなく、
残された人が悲しみにしっかりと対峙していくためなのだと、
この本ははっきりと認識させてくれる。
昨今、テレビや雑誌で葬儀や墓についての話題が取り上げられるとき、
その多くが費用対効果の面から、要る要らないを語っているのはなぜだろう。
「経済のコトバ」で考えることが当たり前になってしまっているようだ。
その一方で「悲しみを支え合う」とか「人とのつながり」を求める気持ちも
強くなっているように思う(とくに若い人たちから)。
あえて費用対効果を語るなら、葬儀の本質を押さえてムダを省くことで
「生きたお金の使い方」にもなり得るのだ。
「お金がかかるから葬式はしない」という人はいてもいい。
だが「自分の葬式はしなくていい」と思う人も、
肉親や親しい人の「お別れの儀式」がまったくなかったら、感情のやり場がない。
少なくともそれを寂しく思う人にとって、考え方の指針を示してくれる本。
大切な人のために、別れの儀式は必要
★★★★☆
今、葬儀をしないと決めている人は、遺された人のことなど頭にないのかもしれない。
葬儀で無駄なお金を使うくらいなら、家族に残した方がいい、という考えは自分がそう思うだけで、
家族はそう思っていないかもしれないのだから。
ほんとうに家族のことを思っているなら、葬儀はしないとばっさり別れの儀式をとりやめるのではなく、
お金をかけなくてもいいから、自分と別れる場をどうしたらいいか考えておくべき。
「葬式はいらない」だけでは、終焉は迎えられないことを、この1冊が教えてくれた。
まずは「身内だけの葬儀でいい」といっている父親と、折を見てじっくり父の送り方について話し合ってみようと思う。
人生を振り返り、今後生きるための指針になった
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葬儀がいる、いらないの話しかと思ったが、
読み終わってみると、今までの人生を振り返り、
今後生きるための指針になった。
名前は軽い感じだが、
中身は「深い」本。
過去の自分の悲しい死別の思い出と
感情を表すといった
自分のとった行動が間違いでなかったことを
改めて認識した。