一方、平成16年第159通常国会で「国民年金法等の一部を改正する法律案」が成立(いわゆる平成16年年金改正法、(平成16年6月11日公布、法律番号104))したが、改正法は厚生労働省の「方向性と論点」どおりではなかった。例えば、
1.厚生年金保険料の上限は18.30%(「方向性と論点」では20%)であり、
2.積立金の規模の問題として新たに有限均衡方式が打ち出され、
3.給付水準の下限が設定された。
本書は、平成16年年金改正法が成立した平成16年6月5日よりも前の平成16年3月25日に発行されているため、本書第1章考察の対象が改正法そのものでないのは当然である。著者には今後、改正法と「方向性と論点」との相違、改正法自体の評価を含む論考を期待したい。