あの太目の線とデフォルメ調の絵で、心情描写からバイオレンス、エロス、ファンシーまですべて表現できているのにびっくり。絵の細部まで丁寧に動きや意味を持たせていて、ワンピだけでなくナリさん独自の世界も展開され、ぐいっと引き込まれてしまいました。

3作品中、1,2作品目は楽しく読んだあとの、3作品目のSpit out Your soulにはただ衝撃。激しいバイオレンスとエロス、これは少年誌では決してありえない表現で同人誌ならでは。そのバイオレンスが激しく表現されていただけに、冒してしまった罪の重さへゾロの苦しみが胸に痛い。そして、それをうけるサンジの慈愛。さらにルフィの船長としての存在感も素晴らしい。これだけを描ききる画力、構成力に、読後はただひたすら呆然としてしまいました。
もはや男たちの友情、絆を描いた一つの別の作品のような気にもとらわれつつ、いやいや、これはワンピの同人だからいいんだよと思いなおしていました。こんな作品が6年も前に描かれていたのかと驚きです。同人の世界は広いですね〜

ゾロサンものは数あれど、これは傑作でした。物語と絵の両面で凄い出来映え。なにしろキャラクターが生きている。ゾロもサンジも、この作者オリジナルのキャラさえも、原作みたいに生き生きしてる。コマの隅々までワンピが息づいているのです。二話目の「人は迷子と言うけれど」は特に素晴らしかった。すごく笑ったし、同時に切なくて涙しました。物語として優れているのはもちろん、造形的にも完成度が高い。特に構図や文字の配置がセンス抜群で、実に印象的な物語空間を作り出しています（言葉の選び方も素敵です）。そしてこの二話目に見られるギャグ＆切なさの緩急こそが、まさしくワンピなんですよ･･･！

･･･と膝を打ちつつ三話目を読み始めたら、これがとんでもない問題作でした（泣）。表題作の中編がそれで、とにかく原作ならあり得ないダークさ。正気を失ったゾロをサンジが救済するお話なんですが、たぶん四分の三くらいは死に直結した暴力の描写。あまりの凄惨さに、これはもの凄いバッドエンディングになるかも、と思ってかなりビビりました（一応ハッピーエンドでしたのでご安心を）。でも、それでも構わないと思ったほど強烈に力のある作品です。原作と乖離したこの凄惨さゆえに賛否は分かれると思いますが、私は純粋に驚嘆しました。エンディングも洒落ています。

ちなみに全編通してエロスもがっつり。ここまでエロいゾロサンもそうはないかも。

いずれにせよ、作者は素晴らしい才能の持ち主だと思います。ゾロサンはむろん続刊希望ですし（もっともっとハッピーなお話を！）、オリジナルもぜひ読んでみたいです。

大好きなナリ様の再録です。
ありがとうございます。
ごちそうさまでした…って感じです。

ジャックレイラ　　なれそめです。

人は迷子…　　　　仲良しです。

Spit out…　　　　う〜ん。終わりよければ…かな。

もしも二人が…　　やっぱり仲良し！

機会があればナリ様の再録本、またまたお願いします。
これのおかげでオークションの高値が落ち着きました。
読めてなかった方おススメです。

同人誌
「ジャックレイラ」
「人は迷子と言うけれど」
「Spit out Your soul上・中・下」
３作品の再録本です。
描き下ろしもあります。

一言で言うなら「萌えの宝庫」です。
ゾロサンがお好きな方、興味のある方はまず買って間違いないと思います。

個人的にはカバー裏のゾロが可愛くて好きです。